研究概要 |
本年度は、データベース(IDEAL)のデータ表示や検索機能ができる仕組みを開発し、データベースの一般公開を行った。データ表示法として天然変性/球状構造領域を直感的に理解できるインターフェースの工夫を行い、修飾残基、相互作用情報、ドメイン情報とあわせて表示するようにした。注釈付け方法、データベースの仕様、表示系の各々が確立し、データベース開発が軌道に乗った。この一般公開に合わせ、Nucleic Acids Research誌のデータベース特集号に論文を発表し、周知をはかった。現在、公開中のデータは、157タンパク質、161の機能性変性領域、の情報を有しており、さらに89タンパク質のデータの公開を近日中に予定している。公開中のデータで、特に機能性変性領域のコレクションはIDEALが提供する世界で唯一のデータである。このほか,天然変性タンパク質CARMILの機能発現機構を調べるために,CARMILやその相互作用の相手であるCPの分子動力学計算を開始した. 実験では,天然変性領域(IDR)を解析するために,安定同位体標識試料を調製するための新規の発現系の構築を行った.これは,IDRが^<13>C/^<15>N含有最少培地で培養した大腸菌体内で分解されることを抑えるために,積極的に封入体への産物蓄積を行ったのちに,精製タグが自動的に切断されるという豚コレラウイルス由来プロテアーゼN(pro)をN末端に融合する発現系である.これを活用して,領域内の他班との共同研究を進め,古細菌Hef,ヒトFANC-MのIDP領域の試料の^<15>N標識試料の調製に成功し,NMR実験を開始した.また,核小体タンパク質ヌクレオリンのC末端天然変性領域(GARドメイン)に,ヌクレオリンと相互作用する新規因子NVL2との相互作用を強める機能があることを発見した.
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今後の研究の推進方策 |
データベースの、アップデートシステムの確立は最重要な課題である。本年度後半から、アップデートシステムの開発に着手しており、今後はこれを完成させる。また、結果の表示に関しても使い難い面、情報が足りない面があるため、これらの改良もあわせて行いたい。実験では,マウスゲノム由来に対して,予測されたIDPがIDPであるかどうかの実験的検証と,NMR法による新規の物性情報(回転拡散係数(緩和時間),並進拡散係数,H/D交換など)の収集を行う.
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