研究領域 | 天然変性タンパク質の分子認識機構と機能発現 |
研究課題/領域番号 |
21113007
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
太田 元規 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (40290895)
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研究分担者 |
廣明 秀一 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (10336589)
福地 佐斗志 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (70360336)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | データベース / バイオインフォマティクス / 構造・機能予測 / 変性とフォールディング |
研究実績の概要 |
天然変性タンパク質データベース(IDEAL)のアップデートシステムの構築を行った.IDEALのデータは,uniportやPDBの情報より自動生成されたアノテーションシートに,アノテーターが論文より抽出した情報を加え,編集することで生成される.そのため,既にアノテーターが手動で編集・付加した情報を残しながら,uniprot・PDBの最新情報を反映させるシステムの構築を行った.このシステムを用い,2012年12月に既存情報のアップデートに新たにアノテーションされた52個のタンパク質を加え,公開した.また,PDBに収録されたNMRエントリのモデル間の揺らぎを評価するシステムを構築した.データ収録の範囲をヒトの核タンパク質から,真核生物の核タンパク質に拡張した.このほか,天然変性タンパク質CARMILとその相互作用の相手であるCPの分子動力学計算の結果を解析し,ループの特徴的な運動などを研究した. 実験では,相互作用に応じて構造形成を行うProS領域と予測されたCHMP1bのMIM領域について実験的検証を行い,溶液中でαヘリックスの形成を確認した.IDRの試料調製に適用可能なProSN(pro)発現系を用い,NMR試料調製法を確立した.これを用い,マウス由来6種類のIDR試料ならびにAβ(1-42)のNMR解析で,NHシグナルの化学シフトならびに信号強度の温度・塩強度による変化について調べ,Aβ(1-42)は温度上昇に伴いNHシグナルが高磁場に変化するが,他のIDPや構造を有するタンパク質では変化の方向が逆であることを発見した.また,溶液中での局所構造エレメントの存在を解析するための新規NMR測定法:SOFAST-CT-HMQCJ法の開発を開始した.ヒトFANCMのIDP領域,膜制御因子FerのFXドメイン,大腸菌ArfA,などの研究を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アップデートの体制作りに加え,データベース開発当初よりの懸案であったバックアップシステムを構築できたことで,システムの一通りの仕組みが出来上がった.また,注釈付けタンパク質の選別法の見直し等も行うことが出来,研究開発は順調に進んでいる.実験では,IDRのNMRパラメータ(ヘテロNOEおよび化学シフト)に関する理解が進み,NMRスペクトルを利用した新たなIDR研究法を着想した.
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今後の研究の推進方策 |
データベースのインターフェースの見直しやそれにともなうデータ構造の変更の検討を開始した.具体的には,変性領域中で他のタンパク質と相互作用する領域(ProS)に関するアノテーションを充実させるとともに,タンパク質相互作用ネットワークの表示に向けた整備の検討を進めつつある.2013年度はこれらの変更を達成しNARのデータベース特集号に論文を掲載することを目指す. 実験では,IDRに特徴的なNMR法による新規の物性情報(化学シフト変化,並進拡散係数,H/D交換,低分子との相互作用など)の収集を行い,新規のNMR実験によるIDR同定法の開発を行う.
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