研究領域 | 植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明 |
研究課題/領域番号 |
21114002
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
射場 厚 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (10192501)
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キーワード | CO2 / 高等植物 / 気孔 / シグナル伝達 / サーモグラフィー |
研究概要 |
ABRC等から約700系統のシロイヌナズナエコタイプ種子を入手し、各エコタイプの気孔のCO_2応答性を、サーモグラフィを用いて網羅的に解析することで、実際の自然界に棲むシロイヌナズナの気孔開閉応答性の多様性と普遍性について調査した。気孔のCO_2応答性を指標に、サーモグラフィによる体表面温度測定と蒸散測定装置による気孔コンダクタンス測定によって気孔開閉応答に違いをもつエコタイプを選抜した。さらにこれらのエコタイプの環境応答性について、気孔開閉応答に異常をもつ変異株との差異を解析した。その結果、標準的なエコタイプと比較して、応答性が緩慢なエコタイプおよび応答性が過敏なエコタイプがあることを見いだした。さらに、その気孔開閉応答には気孔が過剰に開くものと過剰に閉じるものがあり、またエコタイプの中には気孔のサイズや密度に違いをもつもの(Cvi-0)も存在することが明らかになった。一方、エコタイプDi-2は、培地中の窒素濃度を上げて生育させると主根と側根の発達が顕著に抑制される。栄養素としての窒素は根から硝酸イオン、アンモニウムイオンの形で取り込まれ、主に地上部で同化される。そこで、培地中の窒素量を変え生育させたDi-2の地上部における45種の一次代謝物量をキャピラリー電気泳動-質量分析装置(CE-MS)を用いて測定した。この測定結果に主成分分析、階層的クラスター解析、相関解析を施し、ColumbiaとDi-2間における代謝プロファイルの違いを見た。その結果、Columbiaに比べDi-2は特に低窒素条件下において、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギンの蓄積が顕著であることが分かり、窒素同化の効率が高いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究目標としている既知のCO2関連制御因子の機能解明に加え、新規の複数の関連因子の同定にも成功し、それらの分子実体、生理機能について解明が順調にすすんでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に変更はない。今後研究を遂行する上で、とくに問題点は生じていない。
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