計画研究
1. モデル植物の硝酸イオン輸送変異株のCO2応答の解析シロイヌナズナの硝酸イオン輸送変異株を高CO2環境下で栽培して実現した「恒常的窒素制限状態」において特徴的に変化する代謝産物を探索した。130個の主要代謝物の変動について分析した結果、CO2環境、アンモニアの有無、遺伝子型及びこれらの要因の相互作用により97個の代謝物で有意な変化が確認されたが、恒常的な窒素不足に応答する代謝物は1つしかなかった。このことから、植物の代謝は、恒常的な窒素不足に対しては強固に維持されるが、高CO2やアンモニアの存在のような富栄養環境によって変動することが示された。アンモニアが植物のストレス要因になり得ることが最近、明らかにされつつあるが、我々は好アンモニア性であるラン藻でもアンモニア毒性の緩和のためにPIIタンパク質が必須であることを見いだした。2. 野生植物の窒素感受性の解析東海地方に自生するモウセンゴケ属の3種は互いに近縁性が高いが、これらのうちモウセンゴケ(Dr)がもっとも硝酸イオン濃度が低い環境に分布し、もっとも強い硝酸イオン感受性を示す。Drのみが高濃度の亜硝酸イオンを蓄積することから、亜硝酸の毒性が硝酸イオン感受性の原因と推定し、硝酸還元酵素遺伝子(nia)とCO2固定酵素遺伝子(rbcL)の発現解析を行った結果、Drでは他の一般の植物と異なり、niaがアンモニアにより抑制されずむしろ促進され、rbcLの発現がアンモニアによって活性化されることがなかった。この結果から、高窒素条件下での遺伝子発現調節がC/N比の調整に最適化されていないことが、Drにおける亜硝酸イオンの蓄積と生育阻害を引き起こした原因と推定した。さらに亜硝酸イオンの葉緑体への吸収について検討した結果、従来推定されていたものとは異なる亜硝酸イオン輸送体の存在を明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant and Cell Physiology
巻: 55 ページ: 281-292
10.1093/pcp/pct186
Photosynthesis Research
巻: in press ページ: in press
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巻: 54 ページ: 1504-1514
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