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2011 年度 実績報告書

植物ホルモンを介した炭素・窒素栄養バランス情報の伝達システムの解明

計画研究

研究領域植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明
研究課題/領域番号 21114005
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

榊原 均  独立行政法人理化学研究所, 生産機能研究グループ, グループディレクター (20242852)

研究分担者 木羽 隆敏  独立行政法人理化学研究所, 生産機能研究グループ, 研究員 (20532097)
キーワード光合成 / 二酸化炭素 / 植物ホルモン / 窒素栄養 / 遺伝子発現
研究概要

高CO_2条件、高C/N条件でのオミクス解析に基づく形態的応答に関わる遺伝子同定と機能解析
昨年までの研究により、生育環境中のCO_2濃度の上昇に応答し成長が促進されるのに先んじて、メリステムを含む茎頂部分のtZ型サイトカイニンの内生量が増加することを明らかにした。一方、tZ生合成を担うCYP735A遺伝子の破壊株(cyp^<735ala2>二重変異体)ではシュートメリステムが野生型に比べ小さくなるとともに、葉の面積当たりの細胞数が少なくなり、葉のサイズも小さくなるなど、高CO_2応答とは逆の表現を示すことを明らかにした。そこで、今年度はホルモン関連の機能欠失型変異体について高CO_2に対する地上部のサイズ変化などについて検討した。その結果、cyp^<735ala2>二重変異体では形態的な高CO_2応答が著しく抑えられていた。このことは高CO_2条件への形態的応答のシグナルの1つとしてCYP735Aを介したtZの合成が関わっていることを示唆している。
野生型とcyp^<735ala2>二重変異体地上部のC/N比を測定したところ、二重変異体では野生型に比べ、C/N比が通常条件で低いこと、さらに高CO_2条件でより減少していた。この減少の要因は炭素含量が高CO_2条件で減少することによる。この生理学的解釈についてはCとNの内訳(構造炭素/非構造炭素解析、アミノ酸組成解析など)や、地下部でのC/N比とも合わせて考察する必要がある。
C/Nバランス条件により制御されるサイトカイニン生合成酵素遺伝子の解析
シロイヌナズナでの知見を踏まえ、高CO_2処理条件におけるサイトカイニン合成系遺伝子の発現を調べたところ、OsIPT4の発現が根で上昇するとともに、サイトカイニン内生量も根で増加していた。一方、メリステムを含む茎頂部分においてOsIPT8の発現が約3倍に上昇していた。以上の結果は、OsIPT4,OsIPT5に加えOsIPT8も含めた高CO_2条件でのサイトカイニンを介した成長制御システムについて検討する必要性を示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

cyp^<735ala2>二重変異体における高CO_2に対する形態的な応答が著しく抑えられていたことを明らかにし、高CO_2条件への形態的応答のシグナルの1つとしてCYP735Aを介したtZの合成が関わっていることを示すことができたため。

今後の研究の推進方策

CYP735A以外のサイトカイニン生合成、情報伝達に関わる種々の変異体での高CO_2応答の違いを詳細に比較検討するとともに、接ぎ木実験などとも組み合せて、高CO_2へのtZを介した形態的応答の個体レベルでの統御システムについて知見を得る。

研究成果

(6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 学会発表 備考

  • [雑誌論文] Arabidopsis lonely guy (LOG) multiple mutants reveal a central role of the LOG-dependent pathway in cytokinin activation2012

    • 著者名/発表者名
      Tokunaga,H., Kojima, M., Kuroha, T., Ishida, T., Sugimoto, K., Kiba, T. and Sakakibara, H.
    • 雑誌名

      Plant Journal

      巻: 69 ページ: 355-365

    • DOI
      10.1111/j.1365-313X.2011.04795.x
    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Arabidopsis nitrate transporter NRT2.4 plays a double role in roots and shoots of nitrogen-starved plants2012

    • 著者名/発表者名
      Kiba, T., Feria-Bourrellier, A.-B., Lafouge, F., Lezhneva, L., Boutet-Mercey, S., Orsel, M., Brehaut, V., Miller, A., Daniel-Vedele, F., Sakakibara, H. and Krapp, A.
    • 雑誌名

      Plant Cell

      巻: 24 ページ: 245-258

    • DOI
      10.1105/tpc.111.092221
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ligand-binding properties and subcellular localization of maize cytokinin receptors2011

    • 著者名/発表者名
      Lomin, S. N., Yonekura-Sakakibara, K., Romanov, G. A. and Sakakibara, H.
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Botany

      巻: 62 ページ: 5149-5159

    • DOI
      10.1093/jxb/err220
    • 査読あり
  • [学会発表] 高CO_2環境への馴化過程における植物ホルモンの役割2011

    • 著者名/発表者名
      榊原均、木羽隆敏
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都市)(シンポジウム)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-21
  • [学会発表] 高CO_2応答とサイトカイニン2011

    • 著者名/発表者名
      木羽隆敏、榊原均
    • 学会等名
      日本植物学会
    • 発表場所
      東京大学(東京都)(シンポジウム)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-17
  • [備考]

    • URL
      http://labs.psc.riken.jp/brt/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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