研究領域 | 植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明 |
研究課題/領域番号 |
21114007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺島 一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40211388)
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研究分担者 |
野口 航 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (80304004)
種子田 春彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (90403112)
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キーワード | 生理生態 / 環境応答 / 代謝生理 / 光合成 / 安定同位体 / 気孔コンダクタンス / 葉肉コンダクタンス / ABA |
研究概要 |
1)シロイヌナズナ呼吸系の高CO2応答:390pppvおよび780pppvCO2でシロイヌナズナを栽培し、20日目の地上部の夜明け前と日没後の呼吸速度を調べた。夜間における呼吸速度の現象は780pppvで小さく、夜明け前の呼吸速度は780pppvで高かった。また、780pppvで呼吸商(CO2放出/O2消費)が高い傾向が見られた。さらに、夜明け前、日中、日没前の一次代謝産物と呼吸系の遺伝子発現、酵素活性を解析した。いくつかのアミノ酸・有機酸量に栽培CO2濃度による違いが見られれた。特に780pppvでは解糖系の糖リン酸やデンプンの量が増加していた。また、呼吸系の遺伝子発現についても栽培CO2濃度による違いがみられた。 2)酸性pH環境がCO2応答におよぼす影響:土壌の酸性pHストレスはしばしば植物の成長を低下させる。高CO2環境は酸性pH環境における高い有機酸需要をみたし、植物の成長を大きく促進させると考えたが、実際には、アンモニアを主要な窒素源とした酸性pH環境では、高CO2環境においてシュートの成長がむしろ阻害された。高CO2における成長阻害のメカニズムとしての重要性は今後の検討課題である。 3)気孔コンダクタンスと葉肉コンダクタンスの高CO2応答葉肉組織由来の葉肉シグナルが気孔開度を制御する可能性を検討した。ツユクサ剥離表皮を葉肉組織上に移植する実験によって、葉肉組織が気孔開孔と閉孔の両方に関与する事をしめした。特に、高CO2による閉孔には葉肉シグナルが重要である。乾燥ストレスによる葉肉コンダクタンスの低下には、ABAが関与することを明らかにした。孔辺細胞の高CO2応答においてはABA経路の寄与を考える必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シロイヌナズナの呼吸系のCO2応答については、かなり明らかになった。葉肉コンダクタンスや気孔コンダクタンスのCO2応答に関する研究でも新発見が相次いでおり、成果が上がっている。
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今後の研究の推進方策 |
モデル植物ばかりではなく、イネFACEを利用した研究も展開する。気孔コンダクタンスおよび葉肉コンダクタンスに関する研究をさらに推進する。
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