計画研究
先の文科省プロジェクトRR2002で作成し、維持している開放系大気CO2増加(FACE)実験装置の回収工事を積雪前の10~12月に実施した。この結果、CO2付加の効率が若干改善された。また、パイプを固定するFACEリングの補強も実施した。さらに、数種を残して萌芽の再生研究を実施している基盤研究の課題を終え、地下部の観測に当てるため根系の堀取りを行った。本格的なCO2付加実験に移行するため、これまでの研究をとりまとめ、樹木の機能量を評価し、特に呼吸量を中心とした地球規模の相対成長関係を検討した。一方、森林ではCO2を吸収する「光合成」と放出する「呼吸」の双方が行われており、この2つわずかな差によって正味の吸収・放出量が決まる。FACEで、さらに環境応答機能の検討を予定しているグイマツ雑種F1を用いた林分CO2固定機能改善効果をねらい、伐採後、伐採前から5年間にわたって生態系のCO_2収支を計測した。森林伐採前は光合成と呼吸がほぼバランスし、CO_2の弱い吸収源であった、伐採直後に光合成量が呼吸量に比べて大きく減少したために、CO_2の年収支が大きく放出側に振れた。伐採後の経過年数にしたがって、正味の放出量は減少したが、伐採後3年目においてもまだ正味の放出であり、森林伐採によって大量のCO_2を大気に放出することがわかった。一方、高CO2環境下では気孔が閉気味になり蒸散速度が抑制されるため、通水部分である道管の直径の変化が予測される。そこで、太い道管が年輪に沿って形成される環孔材2種と細い道管が一様に分布する散孔材2種の木部構造を比較した。その結果、ハリギリのみ高CO2で太い道管が形成され、予想と反対であった。他の樹種では明瞭な差がなかった。今後、この現象の解明を急ぐ。
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