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2011 年度 実績報告書

Xist RNA作用マシナリーの調節機構

計画研究

研究領域非コードRNA作用マシナリー
研究課題/領域番号 21115005
研究機関九州大学

研究代表者

佐渡 敬  九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (70321601)

キーワード高分子非コードRNA / 発生・分化 / ヘテロクロマチン / X染色体 / 遺伝学
研究概要

不活性X染色体に局在することが知られるSMC関連蛋白質SmcHD1に着目し,これを含む蛋白質複合体を単離,同定することを試みた.前年度までに作製した,GFP-SmcHD1融合蛋白質を発現するトランスジェニックマウスの胎仔の粗抽出液と抗GFP抗体を用いた免疫沈降の結果,SmcHD1がおそらくは二量体を形成することが示唆されたが,他に共沈するものは何も得られなかった.そこで,マウスの内在性SmcHD1に対する抗体を作製し,同様の条件で免疫沈降,および質量分析を行ったところ,SmcHD1の他に量的には少ないものの,興味深い蛋白質がいくつか得られた.これらの蛋白質が不活性X染色体に局在するかどうか,培養細胞での強制発現によって調べる一方,安定発現株も樹立しそれらの局在について確認を進めている.これまでのところ,少なくとも1つの蛋白質については不活性X染色体に局在するように思われる.
我々の免疫沈降では得られなかったが,共同研究者が別の経緯でヒト培養細胞において見出したSmcHD1と相互作用するHbixのマウスホモログをタグ付き蛋白質として発現するトランスジェニックマウスを作製し,これが不活性X染色体に局在することを確認した.また,昨年度着手したノックアウトうマウスがようやく誕生し,交配を行ったところ雌雄ともにホモ接合体が得られることがわかった.Hbix欠損胚,および線維芽細胞におけるX染色体不活性化には,これまでのところ顕著影響は認められていない.
XistRNAの局在制御に関わると考えられるhnRNP U (SAFA)の条件的ノソクアウトマウスを作製するため,ジーンターゲティングを行い,キメラマウスを得た.現在生殖細胞を経て改変アリルを受け継いだ個体を得るため交配を続けている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

作製を予定しているノックアウトマウス,トランスジェニックマウスが順調に得られており,今後これらを用いた解析に期待が持てる.また,SmcHD1との相互作用因子についても,候補因子がいつくか取れており,今後の発展が期待できる.

今後の研究の推進方策

Hbixノソクアウトマウスについては,これまでのところ顕著な表現型が認められていないが,これは着目したものとは異なるアイソフォームの寄与である可能性が否めない.完全機能欠損変異は,X染色体不活性化以外にも影響を及ぼす可能性はあるが,その様な変異を持ったマウスの解析も必要と考えるにいたり,現在マウスの作製を進めている.hnRNP Uについても,間もなく条件付き欠損マウスの誕生が期待できる.SmcHD1との相互作用因子の候補については,培養細胞系で十分に検討したうえで,マウス胚での解析を行うか判断する.

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Incomplete X-inactivation initiated by a hypomorphic Xist allele in the mouse2011

    • 著者名/発表者名
      Hoki Y, Ikeda R, Mise N, Sakata Y, Ohhata T, Sasaki H, Abe K, Sado T
    • 雑誌名

      Development

      巻: 138(13) ページ: 2649-2659

    • DOI

      10.1242/dev.061226

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Role for piRNAs and non-coding RNA in de novo DNA methylation of the imprinted mouse Rasgrfl locus2011

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, et al
    • 雑誌名

      Science

      巻: 322 ページ: 848-852

    • DOI

      10.1126/science.1203919

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MitoPLD is a mitochondrial protein essential for nuage formation and piRNA biogenesis in the mouse germline2011

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, et al
    • 雑誌名

      Developmetal Cell

      巻: 20 ページ: 364-375

    • DOI

      10.1016/j.devcel.2011.01.005

    • 査読あり
  • [学会発表] マウス雌生殖細胞におけるX染色体の再活性化2011

    • 著者名/発表者名
      佐渡敬
    • 学会等名
      日本遺伝学会第83回大会
    • 発表場所
      京都(招待講演)
    • 年月日
      20110920-20110923
  • [学会発表] Xist RNAの5'領域のX染色体不活性化における役割2011

    • 著者名/発表者名
      酒田祐佳, 他4名
    • 学会等名
      日本遺伝学会第83回大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20110920-20110923
  • [学会発表] X-inactivation initiated by Xist RNA defective in silencing in the mouse embryo2011

    • 著者名/発表者名
      T.Sado
    • 学会等名
      3rd X-inactivation Conference
    • 発表場所
      England(招待講演)
    • 年月日
      20110720-20110724
  • [学会発表] X-inactivation in female mice deficient for macroH2A1 and macroH2A22011

    • 著者名/発表者名
      T.Sakaguchi, et al
    • 学会等名
      3rd X-inactivation Conference
    • 発表場所
      England
    • 年月日
      20110720-20110724
  • [学会発表] X-inactivation triggered by Xist RNA deleted for the 5' Sequence in the mouse embryo2011

    • 著者名/発表者名
      Y.Sakata, et al
    • 学会等名
      3rd X-inactivation Conference
    • 発表場所
      England
    • 年月日
      20110720-20110724
  • [学会発表] Incomplete X-inactivation Initiated by a Hypomorphic Xist Allele in the Mouse2011

    • 著者名/発表者名
      T.Sado, et al
    • 学会等名
      The 16th annual meeting of the RNA society and the RNA society of Japan 13th annual meeting
    • 発表場所
      Kyoto
    • 年月日
      20110614-20110618
  • [学会発表] ヒト不活性化X染色体に局在する新規タンパク質のマウスホモログの単離と解析2011

    • 著者名/発表者名
      坂口武久, 他4名
    • 学会等名
      第5回日本エピジェネティクス研究会年会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      20110519-20110520
  • [学会発表] Xist RNAの5'領域のX染色体不活性化における役割2011

    • 著者名/発表者名
      酒田祐佳, 他4名
    • 学会等名
      第5回日本エピジェネティクス研究会年会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      20110519-20110520
  • [図書] 卵子学第IV-14章:卵子とX染色体(森崇英総編集)2011

    • 著者名/発表者名
      佐渡敬
    • 総ページ数
      13
    • 出版者
      京都大学学術出版会

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公開日: 2013-06-26  

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