小分子RNA作用マシナリーが果たす生理機能とそのメカニズムの解析を目的として、本年度は以下の解析を行った。 (1) 神経細胞の形態形成における小分子RNAの機能を解析することを目的として、様々な条件で培養した神経細胞からRNAを回収し、マイクロアレイを用いて発現が変動しているmiRNAの探索を行い、神経細胞の形態の変化によって、発現が変動するmiRNAを同定した。また、それらmiRNAの発現変動をRT-PCR法を用いて確認した。 (2) miR-132のスパイン形態制御における機能の解析を目的として、初代培養神経細胞にmiR-132の過剰発現を行ったところ、スパイン形態に多少の変化が見られたものの、大きな形態変化は観察されなかった。 (3) MILI欠損マウスより樹立したGS細胞(Germ stem cell)においては、レトロトランスポゾン遺伝子IAPの発現上昇と、転写制御領域のDNAメチル化の低下が認められ、生体における欠損マウスの表現型と一致する。このMILI欠損GS細胞に、センダイウイルスベクターを用いてMili遺伝子の導入を行い、表現型の変化を解析したところ、少なくともGS細胞においては、MILIの発現回復のみでは、IAPの発現上昇を抑制できなかった。 (4) 胎仔期の精巣でのみMILIを発現するトランスジェニック(Tg)マウスの作製では、Miwi2のプロモータ領域を含むBAcを用いたMili-Tgマウスを作製した。発現をモニターするために、IRES-EGFPをTgベクターに組み込み、胎仔期精巣での発現を調べたところ、GFPの発現がほとんど認められなかった。
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