計画研究
21年度までの解析により、ショウジョウバエMRE32は胚発生期において中枢神経系特異的に発現するnon-coding RNAであることが明らかになっている。また、MRE32遺伝子の欠失変異体は発生に遅れが生じることから、MRE32が神経系において重要な機能を担っていることが推察されている。ショウジョウバエMRE32遺伝子の発現組織・細胞を同定するため、in situハイブリダイゼーションによる解析を行ったところ、従来明らかになっていた胚発生期の中枢神経系に加え、成虫視葉の二次狭窄を構成する神経細胞にもMRE32の発現が見られた。また、それ以外の多くの中枢神経細胞にも発現が見られたが、これらについては細胞の同定のためにさらなる解析が必要であると考えられる。胚発生期の発現細胞については、前胸腺特異的な分子マーカとの二重染色により、少なくとも食道神経節細胞の一部で発現していることが推察された。また、MRE32の転写領域を確定するため、RT-PCRによるマッピングを行ったところ、逆向きのトランスポゾン配列(roo element、約10kb)を含む約30kbがMRE32遺伝子被転写領域であると考えられた。この領域では、RNA-seq法により複数のタグが検出されており、転写活性は低いものの、何らかの転写産物が合成されているという従来の知見とよく一致する。なお、雌特異的と考えられたMRE32の表現型(発生の遅れ)は、雄でも観察されることが明らかとなり、現在詳細について解析中である。
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Science
巻: 329 ページ: 469-476