計画研究
本年度は、光学活性ホスホロチオエートRNA合成法の基礎を確立することを目標に研究を行った。そのために、まず、RNA合成のための新しい2'-水酸基の保護基の開発を行った。RNAの化学合成に用いられる鎖長延長反応条件下安定であり、かつ立体障害が小さく、高い縮合反応効率が期待できる新規保護基を開発した。ウリジン誘導体に対して新規保護基を導入する反応条件を種々検討し、高収率で2'-水酸基に新規保護基を導入することができた。この新規保護基は5'-水酸基の保護基であるジメトキシトリチル基の除去条件(3%ジクロロ酢酸/ジクロロメタン)で安定であり、塩基部およびリン酸基の保護基の除去条件(濃アンモニア水)でも安定であった。一方、フッ化テトラブチルアンモニウムで処理することにより迅速に除去可能であることがわかった。この新規保護基を有するRNAモノマーを合成し、自動合成機を用いてRNAオリゴマーの固相合成を行ったところ、極めて高効率で縮合反応が進行し、目的とするオリゴマーを得ることができた。一方、本研究の合成標的である、光学活性ホスホロチオエート結合を有するsiRNAの光学純度を検定するための予備実験を行った。光学活性ホスホロチオエート結合をsiRNAに導入するにあたり、その立体異性体がどの程度まで分離、分析可能であるかについて、HPLCを用いて調べた。具体的には、siRNAの20か所のリン酸ジエステル結合の内、一か所のみにホスホロチオエート結合が導入されたジアステレオ混合オリゴマーの2種類のジアステレオマーが完全に分離する条件を見出すことができた。このことにより、本研究で合成を計画している光学活性ホスホロチオエート結合を有するsiRNAの光学純度を正確に評価することが可能となった。
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