計画研究
平成22年度の研究において、和田は、長鎖光学活性ホスホロチオエートRNAの固相合成を検討した。特に、2'-水酸基保護基と、縮合反応における活性化剤の検討を行い、4種類の核酸塩基を有するリン原子の立体が厳密に制御されたホスホロチオエートRNAを高収率かつ高立体選択的に合成することに成功した。さらに、光学活性ホスホロチオエートRNAと相補的な塩基配列を有するRNAとの二本鎖形成能を調べ、リン原子の絶対立体配置がRNA二本鎖の熱力学的安定性に及ぼす効果を明らかにした。一方、RNA型核酸医薬の生体内における安定性の向上と相補的な塩基配列を有するRNAとの二本鎖形成能の向上を目指し、新規な2'-水酸基の修飾方法を検討した。電子求引基を有するエトキシメチル基により修飾された新規RNA類縁体は、天然型のRNAと比較して、顕著に二本鎖の熱力学的安定性が向上することが明らかとなった。これらの研究成果は、非コードRNA医薬の開発に大きく貢献することが期待される。研究分担者の竹下は、光学非活性のホスホロチオエート化siRNAにおいて、配列上のPS結合位置の違いによる遺伝子抑制効果に対する影響を、in vitroの実験で検討し、PS結合の位置が配列の中央付近に存在する場合、PS結合を持たないsiRNAと比較しより低濃度でRNAi効果が発揮され、効率が高まることを明らかにした。次に実験動物にホスホロチオエート化siRNAを投与し、生体内におけるsiRNAの動態、安定性を検討するため、microRNAの定量PCR法を改変することにより、動物組織に残存する微量siRNAの定量を行う系確立した。この系を用いてsiRNAを定量することにより、正常あるいはがん組織において、非コードRNA医薬品によるRNAi効果の発現に必要なsiRNAの分子量を推測することを可能にした。
すべて 2011 2010
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