計画研究
哺乳類の初期胚発生には細胞間の相互作用が重要な役割を果たしているが、細胞間接触による相互作用の果たす役割については、あまり知見がない。本研究ではHippoシグナル経路と転写因子Sall4に注目し、初期胚発生における細胞間接触によるコミュニケーションの役割(佐々木)と、コミュニケーションの結果起こった細胞分化がエピジェネティックな機構により核内で固定化される分子機構(西中村)を解明することを目的とし、大きく3つのテーマで研究を進めている。平成22年度は、(1)着床前胚で細胞間接触情報による栄養外胚葉と内部細胞塊の分化制御機構の解明について、細胞間接触によるHippoシグナルの活性化と細胞極性による抑制との組み合わせにより、位置依存的にHippoシグナルを活性化し、細胞の分化を制御することを見出した(佐々木)。(2)栄養外胚葉と内部細胞塊の分化が核内で不可逆的に安定化される機構に関して、核内因子Sall4は、HDAC複合体と結合して分化を抑制することによってES細胞を未分化に維持していること、また、初期胚におけるノックアウトマウスを使って、Sall4が子宮着床直後のエピブラスト及び生殖細胞の発生に必須であることを見いだした。(西中村)(3)着床後胚で細胞間接触情報が細胞動態の制御に果たす役割とその分子機構の解明に向けて、着床後のライブイメージング系の確立した。(佐々木)これらの成果は、マウス初期胚という細胞コミュニティーの細胞動態の制御機構を理解するうえで、大きな手掛かりを与えるものであり、来年度以降の研究展開の基礎となるものである。
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