計画研究
1) 新規PAR-1結合タンパク質、MTCL1(旧名:MARKAP1)の 微小管制御能(架橋能)、および、上皮細胞特有の微小管構造の発達に対する必須な役割に関する研究成果を、最終的に国際誌に発表した。その中では、「MTCL1は微小管の束化を担うのみならず、PAR-1キナーゼを微小管束にリクルートすることによって束内の微小管の動的重合能を維持する働きも発揮し、そのことによって上皮細胞特有の微小管構造の形成、上皮極性形成に関わっている」というモデルを提唱した。2)他方、MTCL1のPAR-1結合部位はPAR-1のキナーゼ活性を抑制するピロリ菌毒素CagAのPAR-1結合部位と高い相同性を示し、実際にPAR-1のキナーゼ活性を競合的に阻害することも明らかとした。以上の結果は、MTCL1とPAR-1の相互の活性制御機構の存在を示しており、この相互作用が細胞極性制御の種々の局面で機能している可能性が示唆された。3)MTCL1が分化能の低い細胞において「ゴルジ微小管」の安定的な重合と架橋に働き、そのことを通じてゴルジ・リボン構造の形成を促進し、細胞の極性を持った運動に必須な機能を果たしていることを最終的に実証し、国際誌に論文として投稿した。この過程では、MTCL1のC末端側の微小管結合部位が微小管の安定化に働いていることを発見した。そして、架橋活性とともにこの微小管安定化活性が、非中心体製微小管の制御に重要な役割を果たしているという興味深い結果を得ることができた。4)MTCL1ジーントラップマウスの解析を進め、その運動失調症状の原因の一つが、微小管束との強い相関がしてきされているプルキンエ細胞の軸索起始部の形成異常に求められることを発見した。パラログ分子、MTCL2のコンディショナルノックアウトマウスの作成も行い、MTCL1,2のダブルノックアウトによって初期胚発生異常がみられる可能性を検討する準備を進めた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Cell Science
巻: 126 ページ: 4671-4683
doi: 10.1242/jcs.127845
Current Biology
巻: 23 ページ: 1181-1194
doi: 10.1016/j.cub.2013.05.014
http://www.tsurumi.yokohama-cu.ac.jp/mcbl/suzuki/index.html