研究領域 | 内因性リガンドによって誘導される「自然炎症」の分子基盤とその破綻 |
研究課題/領域番号 |
21117002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三宅 健介 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60229812)
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研究分担者 |
大戸 梅治 東京大学, 薬学研究科, 助教 (90451856)
中西 広樹 秋田大学, バイオサイエンス教育研究センター, 助教 (10466740)
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キーワード | 自然免疫 |
研究概要 |
本研究では、Toll様受容体(TLR)の内因性リガンドの同定および、TLRと内因性リガンドとの相互作用の制御機構の解析を進めている。具体的には、TLR4/MD-2、それに類似する分子RP105/MD-1の内因性リガンドの同定、生理学的な活性を明らかにする。さらに、核酸認識TLRについては、自己核酸に対する応答がいかに制御されているかについて、制御機構を解明する。当初の研究計画にのっとり、実験を進め、以下の成果が上がった。 1.TLRの内因性リガンドの検索システムの確立;2.健常時及び疾患の際の内因性リガンドの検索、同定:TLR4/MD-2のリガンドとしては、脂肪酸が報告されている。この点について、精製したTLR4/MD-2を用いて、結合を確認することに成功した。そのほかの、健常時、疾患時の内因性リガンドの検索については、同定にまで至ってはいない。また、TLR4/MD-2に類似しているRP105/MD-1については、内因性のリン脂質と結合することを報告した。生体内には様々なリン脂質があるが、どのリン脂質との結合にどのような役割があるのか、RP105やMD-1のノックアウトマウスの解析を進めることで、検討を進めている。 2.TLRによる核酸認識とその制御機構の解明:Unc93B1は、TLR7とTLR9に小胞体で結合し、エンドリソソームに輸送することで、TLR7、TLR9の核酸認識に必須の分子である。今回我々は、Unc93B1が、TLR7、TLR9の細胞内移行を相反的に制御し、TLR7の活性をTLR9によって拮抗させることで、自己免疫病態を防ぐ役割があることを、Unc93B1ノックインマウスを用いて示した。現在、Unc93B1に会合する分子の同定、機能解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内因性リガンドの同定については、あまりうまくいっていないが、RP105/MD-1とリン脂質との相互作用については、順調に進展している。また、核酸認識TLRの応答制御機構については、当初の経過気丈に進展がみられている。
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今後の研究の推進方策 |
TLR4/MD-2の内因性リガンドの検索については、検索の方法を変えてゆく必要がある。機能的な解析を予定していたが、生体内のTLR4/MD-2に結合している脂質、タンパクを質量分析を用いて、同定していることを検討する。
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