計画研究
本研究では、Toll様受容体(TLR)の内因性リガンドの同定および、TLRと内因性リガンドとの相互作用の制御機構の解析を進めている。当初の研究計画にのっとり、実験を進め、以下の成果が上がった。1.DNAに対する応答におけるTLR9のアミノ末端断片の役割マウスTLR9に対する抗体の解析を進めた。昨年決定したTLR9細胞外ドメインの切られる部位を参考にして、アミノ末端側とC末端側を発現させて抗体との反応性を検討したところ、アミノ末端側断片(TLR9N)に結合する抗体、C末端側断片(TLR9C)に結合する抗体、両方発現させて初めて反応する抗体がそれぞれ一つずつ確立された。さらに、TLR9Nは切られた後でもTLR9Cに会合しており、TLR9Nがなければ、TLR9はDNAに応答できないということを示した。この結果は、これまでTLR9CだけでDNAに応答すると考えられてきたが、それを覆す結果であり、大きなインパクトを持った仕事といえる。現在、TLR9の切られる部位に変異を加えて、切られにくくしたノックインマウスを作成し、その解析を進めており、TLR9の細胞外ドメインが切られることの意義を個体レベルで解析してゆく。2.TLR8の結晶構造の決定分担研究者大戸を中心に進めていた構造生物学的解析の成果として、TLR8の構造決定を報告した。ヒトTLR8はマウスTLR7と同様に1重鎖RNAに対するセンサーであるが、塩基誘導体にも応答している。そこで、合成されたTLR8のアゴニストとTLRとの複合体の構造決定に成功した。この構造から、TLR8は最初から2量体を形成しているが、リガンドが結合すると、その2量体の結合の仕方が変化して、細胞内ドメインの活性化が誘導されることが明らかとなった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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