計画研究
本研究では、ショウジョウバエを用いて、病原体センサーが病原体成分に限らず自己由来内因性リガンドにも応答し、恒常性維持機構としてめ自然炎症を誘導しており、その破綻が病態へつながることを明確に示すと共に、その分子的基盤を明らかにすることを目的としている。これまでに、病原体センサーであるPGRP-LEの制御が破綻すると、非感染時においても炎症反応であるメラニン化が誘導され、その個体が死に至ることを示している。本研究では、この恒常的に誘導されている自然炎症の制御機構を明らかにするために、二つの遺伝学的スクリーニングを行っている。第一のスクリーニングは、PGRP-LEの過剰発現で誘導されるメラニン化を掬制する染色体欠失変異体のスクリーニングであり、第2染色体左腕88%、第2染色体右腕82%、第3染色体左腕88%、第3染色体右腕85%の領域を欠失する染色体欠失変異体ライブラリー158系統をスクリーニングした。これにより11系統を同定した。さらに、これらの系統で欠失している領域内の、より小きな欠失を有する変異体46系統を解析し、同様の抑制がみられる4系統を同定した。これらの領域には、55遺伝子が存在しており、原因遺伝子の同定を進めている。第二のスクリーニングは、RNA-iにより発現抑制を行った際に、感染が無くともメラニン化を誘導する遺伝子の探索である。これにより、大腸菌のDnaJ(Hsp40)様のシャペロンDroJ2と、それと相互作用するHsc70-4が同定されている。
すべて 2010
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