研究領域 | 内因性リガンドによって誘導される「自然炎症」の分子基盤とその破綻 |
研究課題/領域番号 |
21117005
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
倉田 祥一朗 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90221944)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 自然炎症 / ショウジョウバエ / 病原体センサー |
研究実績の概要 |
本研究では、ショウジョウバエを用いて、3つの研究項目(1)新規受容体Gyc76Cとその内因性リガンドによる恒常性維持機構の解明(2)病原体センサーPGRP-LEにより恒常的に誘導されている自然炎症の制御機構の解明、(3)病原体センサーPGRP-LEによるオートファジー誘導に見られる動的移行機構の解明を行い、病原体センサーが病原体成分に限らず自己由来内因性リガンドにも応答し、恒常性維持機構としての自然炎症を誘導しており、その破綻が病態へつながることを明確に示すと共に、その分子的基盤を明らかにすることを目的としている。 今年度、研究項目(1)では、Gyc76Cの内因性リガンドを同定するために、Gyc76Cを発現しているS2細胞を用いて、Gyc76Cを活性化しcGMPの産生を誘導する活性を指標に、ショウジョウバエ個体から内因性リガンドを生化学的手法により精製することを試みた。研究項目(3)では、PGRP-LEとRef(2)Pの相互作用がPGRP-LEのオートファジー誘導に必要なアミノ酸の置換により減弱することが明らかとなった。この結果は、Ref(2)Pがオートファジー誘導に特異的に働くアダプター分子として機能していることを示唆している。また、細胞内で、感染したリステリア菌、PGRP-LE、Ref(2)P、そしてオートファジーのマーカーであるLC3が共局在することを明らかにしているが、今回、リステリア菌へのRef(2)Pの集積が、PGRP-LEに依存していることが明らかとなった。さらに、リステリア菌へのPGRP-LEの集積も、Ref(2)Pに依存していることが明らかとなった。これらの結果は、PGRP-LEとRef(2)Pが、相互依存的に感染したリステリア菌に集積することを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究実施計画は、ほぼすべて実施され、目指した研究成果を得ているから。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた研究計画はほぼすべて実施されており、当初の研究計画に変更はない。ただ、ショウジョウバエ個体から内因性リガンドを生化学的手法により精製することを試みたが、量的な問題から成功していない。そこで今後は、どのような生理的状況においてGyc76Cが活性化されるのか、様々なストレスや感染をショウジョウバエに与え、その際にGyc76Cが活性化されるのか調べる。
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