計画研究
TLR4の内因性リガンドとしてがん促進活性をもつS100A8と血清アミロイドA3(SAA3)を中心に、(1)存在証明、(2)ホメオスタシス(恒常性維持機能)への寄与、(3)癌以外の病態の解析、(4)臨床応用への試み、(5)ホメオスタシス解明の為の上記欠損マウスの樹立の5点を目標とし研究を行った。(1) SAA3とその受容体TLR4/MD-2の結合様式をSAA3ペプチドを用いて調べ、SAA3(20-86)はMD-2に結合することが分かった。また東京大学分子細胞生物学研究所の北尾教授の協力により、S100A8はTLR4の中央ドメインとMD-2に結合した状態が最もエネルギー的に安定であることが分かった。(2)癌の肺転移を成立させうる生体の反応については、SAA3を発現する肺のクララ細胞が、癌肺転移に影響を与えていることを明らかにした。(3)他の内因性リガンドとして、DNA結合タンパク質C1DがTLR9の新規内因性リガンドであることを見出した(投稿準備中)。また慢性骨髄性白血病において、原因蛋白BCR-ABLの分子標的薬による抑制効果は、TLR4刺激によって阻害されることを見出した(投稿準備中)。(4)計画班班員である東北大学薬学部・倉田祥一郎教授との共同研究で肺転移を抑制する低分子化合物セラストラマイシン結合タンパク質(mTOC)を同定した(投稿中)。またSAA3の遺伝子解析を行い、ヒト特異的配列に対し抗体を作成し、培養細胞上清でのSAA3濃度を測定した(投稿中)。担癌マウスの血清中の切断型ephrin-A1の上昇の発見により、ephrin-A1の切断酵素であるADAM12の阻害剤(KB-R7785)と誘導体の転移抑制効果を検討中である。(5)SAA3とS100A8の遺伝子欠損マウスを作製し、癌形成時の宿主側の炎症様変化の関与を解析中である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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