本研究では,ロボットの周囲の人々の基本的対話行動認識技術の確立を最終的な目的として,ハードウェア・ソフトウェアの両面から研究開発を行う.具体的には,まず,基本的対話行動を表すデータを,どのような計測領域においても,また計測領域を拡張・移動させても,瞬時に取得できるユビキタスセンシングシステム構築技術を確立する.次に,ユビキタスセンシングシステムによって計測されるデータを蓄積し,人々が何処で,何に注目してどのように対話しているのか,あるいはしようとしているのかといった,様々な基本的対話行動をモデル化する.このモデルと実環境で取得されるデータに基づき,共生型ロボットが実環境で行動する際に参照する基本的対話行動に基づく環境表現を構築する技術を確立する.この目的を達成するため,平成25年度は以下の項目を実施した. A:小学校へのユビキタスセンシングシステム構築.これまでに開発したユビキタスセンシングシステムを京都府精華町立東光小学校の理科室に導入し,小学生の理科の授業における学びの様子を2ヶ月にわたって計測する実験を行った.また,ユビキタスセンシングシステムと連動して動作するロボットシステムを構築し,小学生の理科室で子どもたちとクイズなどのやり取りを通して学習支援を行う実験を行った. B:基本的対話行動モデル構築.3次元測距センサ・カメラ・マイクロホンアレイを組み合わせたユビキタスセンシングシステムを用いて,小学生の理科の授業における音源アクティビティの分析,笑いイベントの分析などの,学びの様子に関する情報を抽出できることを確認した.
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