研究領域 | 人とロボットの共生による協創社会の創成 |
研究課題/領域番号 |
21118005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
板倉 昭二 京都大学, 文学研究科, 准教授 (50211735)
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研究分担者 |
開 一夫 東京大学, 情報学環, 准教授 (30323455)
植田 一博 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (60262101)
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キーワード | ヒト性 / 生物性 / アニマシー知覚 / ロボット / アンドロイド / 学習 / ミラーシステム / MU-SUPPRESSION |
研究概要 |
今年度の成果は以下の3点である。 1) アニマシー知覚に関する脳内機序を明らかにするために、生物に働きかける条件(亀に対して働きかける条件)と人工物に対して働きかける条件(亀と同様の運動をする小型ロボットに働きかける条件)における事象関連電位を計測した。その結果、生物条件においてのみリーチング行動開始時に左前頭下部において正の電位がみられ、リーチング途中に右後側頭部において生物条件よりも人工物条件で有意に大きな正の電位がみられることを見出した。先行研究の結果を合わせると、ミラーシステム(左前頭下部)と右上側頭溝(左前頭下部)の両方の活動がアニマシー知覚に関連していると考えられる。 2) ミラーシステムと関連すると言われているMU-SUPPRESSIONを指標として、ヒト・アンドロイド・ロボットそれぞれが同じ動作をしている場面を成人に呈示する実験を行った。実験の結果、ヒトではMU-SUPPRESSIONが生じるが、アンドロイド・ロボットでは生じないことが明らかになった。この結果を踏まえて、今後同様の刺激を用いてヒト性認知の発達指標を確立していく。 3) 就学前児を対象に、ロボットからの語彙学習が可能か否かを検討した。ヒューマノイド・ロボットとヒトがそれぞれ、新奇な物体に対して命名する場面をビデオに記録し、それを刺激とした。4,5歳児に刺激を呈示した後、物体を呈示し、命名された物体を覚えているかどうかがテストされた。4歳児、5歳児ともにヒトからは学習可能であったが、4歳児はロボットからの学習が困難であった。これに対して、5歳児はロボットからも語彙を学習することがわかった。今後は、このようなロボットからの語彙学習が、どのような条件のもとで成立するかを検討する。
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