研究領域 | 人とロボットの共生による協創社会の創成 |
研究課題/領域番号 |
21118005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
板倉 昭二 京都大学, 文学研究科, 教授 (50211735)
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研究分担者 |
開 一夫 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30323455)
植田 一博 東京大学, その他の研究科, 教授 (60262101)
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研究期間 (年度) |
2009-07-23 – 2014-03-31
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キーワード | ロボット / エージェント / 人工物 / アンドロイド / 予測的視線 |
研究概要 |
一人の参加者と二体のコンピュータエージェントがPCを通して議論を行い、一体のエージェントは参加者の意見に賛成するが、もう一体のエージェントは反対するという場面を実験的に作り出した。そののち、二体のエージェントが簡単なゲームを行って競い合う場面において、自分に賛成したエージェントの失敗を見た場合に参加者の脳波からERNの発生が確認できたのに対して、自分に反対したエージェントの失敗を見た場合には確認できなかったことから、人は人工物に対しても一種の共感をもつことがあり、それはERNによって検出可能なことが示された(植田)。 ヒトとロボット、アンドロイドの動作が成人および乳児でどのように捉えられているのかについて、脳波の周波数解析手法を用いて検討した。具体的にはsensory-motor α(μ波)を指標とした。実験の結果、成人では、ヒトとそれ以外でμ波の減衰に違いが見られ、乳児では、ヒトとアンドロイドには差がないことが発見された。また、情動刺激を共同観察者(ヒトの場合、アンドロイドの場合の2条件)と同時に観察した場合と、個人で観察した場合の脳活動計測に着手した(開)。 ヒトとロボットの視線の性質に注目し,視線に帰属される参照的性質を比較した。ヒトあるいはロボットが視線を動かす映像を提示した際に,乳児がその視線の先に物体の出現を予期するかどうか視線計測装置を用いて測定した。12ヶ月児はヒトが視線を動かす行動を観察した際に,視線の先に物体が現れることを予測したが,ロボットの視線に対してはそのような予測を行わなかった。また,10ヶ月児は,ヒトとロボットのいずれの視線方向に対しても,視線の先に物体が現れることを予測しなかった(板倉)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不気味さの原因と認知機能を探る研究については当初予定していた成果を得ることができた。一方、メタなサジェスチョンの可能性を探る実験については、人同士のインタラクション場面の実験データは詳細に分析できたものの、当初予定していた、人と(メタなサジェスチョンを行う)ロボットの間の実験までは実現することができず、当初予定した成果を十分には得ることができなかった。 ヒト、ヒューマノイドロボット、およびアンドロイドに対する認知を、脳波を用いて、脳活の計測から推定下には、極めてユニークで評価できる。さらに、成人と乳児での脳波活動の差異が見つかったのは興味を引くデータである。また、本プロジェクトの大きな課題である、ヒトとともに過ごすロボット実験の一環として、情動刺激を共同観察者(ヒトの場合、アンドロイドの場合の2条件)と同時に観察した場合と、個人で観察した場合の脳活動計測に着手したのは、この語の期待も込めて大きな進捗と言える。 また、ロボットからの学習という視点から、乳児は単にロボットの視線は追従するが、その視線からは、予測的な参照効果はなかったことを発見したのは、今後のロボット製作にとって価値のあるものである。以上のことから、本年度の進捗はおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策については、懸案であった、メタサジェスチョンの実験を実施に向けて、計画を立てる。また、最も力を入れて実施する項目として、複数のロボットと複数のヒトのインタラクション場面を設定し、社会的なパラメーターう入れて実験を行うことである。現代、そうしたロボットがATRで製作され、使用可能である。
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