研究領域 | 人とロボットの共生による協創社会の創成 |
研究課題/領域番号 |
21118006
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
今井 倫太 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (60348828)
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研究分担者 |
大村 廉 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (10395163)
野村 竜也 龍谷大学, 理工学部, 教授 (30330343)
小野 哲雄 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (40343389)
小嶋 秀樹 宮城大学, 事業構想学部, 教授 (70358894)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ヒューマンロボットインタラクション / 関係性 / 志向スタンス / ジェスチャ生成 / ジェスチャ模倣 |
研究実績の概要 |
本年度は、複数人の人とロボット間におけるコミュニケーションの実現に向けて、人の志向スタンスを引き出すためのロボットのジェスチャや、視線制御の方法について研究を行った。また、人・ロボット間のコミュニケーションの質を評価するための心理尺度の開発を行った。 前年度までの研究で、人が注目する対象にロボットも視線を動かすと、対象物に関した話題のコミュニケーションを円滑にできることが明らかになった。本年度は、資料を囲んで人とロボットが会話する場面においてコミュニケーションを円滑にする方法を検討した。従来の多くのロボットは、頭部の向きのみで注目対象へと視線を向けていた。しかしながら、資料を囲む状況では、体全体を前傾させ資料を覗き込むことの方が多い。本年度は、体全体で覗き込む機構をロボットに実装し、資料を囲んだ人・ロボットコミュニケーションにおける覗き込みの効果を検証した。結果、頭部のみで視線を向ける場合よりも、資料を体全体で覗き込む場合の方が、人は議論メンバーの一員としてロボットを捉えることが明らかになった。 また、人の指さし行動をJerk最小モデルを用いて予測する手法によって人のジェスチャを予測する研究も行った。本年度はモデルを実際にロボットに搭載し,印象評価を行った.その結果,予測なしの場合や従来手法と比較し,スムーズさや自然さといった項目が向上することが分かった. 心理尺度に関する研究では、ロボットが人を評価する状況が人の評価懸念との関連で印象・行動にどのように影響するかについての実験を行うとともに、人型ロボットに対する不安・恐怖を測定するための質問紙の妥当性の部分的検証を行った。さらに、人のロボットに対する関係性欲求を測定するための心理尺度を開発し、予備実験による検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
物体を参照した人とロボットのコミュニケーションを円滑にするためのジェスチャおよび、その生成タイミングが,本研究を通して明らかになっており、フィールドでも使用可能な形で振る舞いモデルをロボットに組み込む事ができている。さらに,人とロボットの心理指標もより精度の高いものに改善することができている.これらの点は,交付申請書で上げた重要項目であり,おおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに、人とロボットの対面状況における振る舞いのモデルを構築することができた。しかしながら、人とロボットが共生する実状況では、複数人の人の会話の中にロボットが入り込む必要がある。本学術領域が対象としている学習場面も、複数人の学習者の中でロボットが人と会話する必要がある。次年度では、ロボットの振る舞いの知見を、複数人の人とロボットの会話状況に拡張する。特に、学習場面において頻繁に登場する資料を囲んだ議論形態を、複数人の人とロボットの間で実現する方法に関して研究を行う。
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