研究領域 | 現代社会の階層化の機構理解と格差の制御:社会科学と健康科学の融合 |
研究課題/領域番号 |
21119006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 廉毅 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70178341)
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研究分担者 |
大森 正博 お茶の水女子大学, その他部局等, 准教授 (40286000)
谷原 真一 福岡大学, 医学部, 准教授 (40285771)
稲田 晴彦 筑波大学, 医学医療系, 助教 (60633146)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 保健 / 医療 / 福祉 / アクセス / 健康格差 / 医療保障制度 / 医師分布 / 災害 |
研究実績の概要 |
従来、わが国には、所得も含めた社会経済要因並びに保健・医療・福祉サービスへのアクセスの健康状態への影響を包括的、継続的に調査した実証研究はなかった。そこで、本新学術領域研究で継続中の多目的共用パネル調査のデータ分析、および本研究班独自の調査・資料収集によるデータ分析を通して、保健・医療・福祉サービスへのアクセス評価と健康との関連を包括的に分析し、社会の階層化を考慮した統合的なサービス提供のあり方を検討する。今年度の成果は以下のとおりである。 1.多目的共用パネル調査のデータ分析:所得や非正規雇用、働き方などと医療アクセスの関係について、他班と連携して分析を進めた結果、医療受診や受診控えについて所得による違いが観察された。また、非正規労働者や自営業者において、健診へのアクセス低下や疾病時の受診控えの多いことが示された。 2.社会資本と医療アクセス、健康と関連の分析:ソーシャルキャピタルについての項目を含む質問票調査を一自治体の住民全員を対象に実施した。調査結果の分析から、主観的経済状況と生活習慣についての関連が見られた。ソーシャルキャピタルについても分析を進めている。 3.全国レベルのアクセス状況の分析:行政統計等の公表データを用いて、わが国の医師分布を経時的に分析した結果、国民皆保険と老人保健制度(高齢者の自己負担軽減)の導入を契機に医療アクセスが相対的に改善していることが示唆された。 4.東日本大震災のアクセスへの影響について、レセプト等を用いて医療へのアクセス状況を分析し、震災直後のアクセス低下とその後の回復状況を明らかにした。また、アクセス是正に係る公共政策等についてレビューし、結果を論文等に公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多目的共用パネル調査の実施が子ども手当等の制度変更によって、当初の計画より半年程度遅れることになったが、その後は計画どおりに研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
分担研究者と協力して、保健・医療・福祉サービスへのアクセスと健康状態との関連を包括的に分析し、社会の階層化を考慮した統合的なサービス提供のあり方について具体的な提言ができるよう研究を推進する。
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