研究領域 | ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明 |
研究課題/領域番号 |
21120002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
津田 一郎 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10207384)
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研究分担者 |
藤井 宏 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (90065839)
高橋 陽一郎 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (20033889)
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キーワード | 複雑系科学 / 数理物理 / カオス力学系 / 脳神経科学 / 情報工学 |
研究概要 |
本計画研究では次の三系からなる方法論によって研究を実施している。[1]脳内ヘテロシステム間相互作用系、[2]ヘテロ力学系ネットワーク系、[3]ランダム力学系である.本年度は次の成果があがった。 [脳内ヘテロシステム間相互作用系] ・海馬CA3の神経生理学的モデルを結合微分方程式の形で構築した。興奮性の錐体細胞と抑制性の介在細胞についてPinsky & Rinzel型の2-コンパートメントモデル(Pinsky & Rinzel, J.Comput. Neurosci. 1994)を用いた。抑制性ニューロンの導入によってカントールコーディングはさほど影響を受けなかったが、主成分分析の結果、第三主成分に抑制性ニューロンの影響が顕著に表れ、しかも抑制性ニューロンを導入することでの時間遅れの効果がこの第三主成分に反映されていることが分かった。 ・内側前頭皮質-マイネルト核-大脳新皮質注意回路系の神経連絡などの構造を精査した。ヘテロ相互作用系のひな型モデルのアイデアがでて、具体的な数理モデルを提案できるところまできた。 [ヘテロ力学系ネットワーク系] ・リカレントニューラルネットにおいて同期現象が記憶痕跡間の遍歴を引き起こす現象が見つかった。さまざまな普遍性が存在する可能性が見えてきた。 [ランダムな力学系(Noised Dynamical Systems)] ・数学的な定式化の可能性について班員の間で突っ込んだ議論を行った。ノイズとカオス的遍歴の関係に関する知見も増えてきた。またノイズ・インデュースド・オーダーの数学的定式化の可能性について議論し、周期解の近傍の大きさが効いているはずなのでその対数が評価の対象になるという見通しを得た。
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