研究領域 | ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明 |
研究課題/領域番号 |
21120008
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水原 啓暁 京都大学, 情報学研究科, 講師 (30392137)
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研究分担者 |
乾 敏郎 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30107015)
笹岡 貴史 京都大学, 情報学研究科, 助教 (60367456)
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キーワード | 認知神経科学 / コミュニケーション / 言語理解 / 動作模倣 / 神経回路 / 脳機能イメージング / 身体性 / 社会脳 |
研究概要 |
言語理解や他者の動作理解において,他者の運動指令を予測しつつ模倣学習を進めるというダイナミックな情報の処理過程が重要であることが乾(1998)により予見されており,その妥当性について実験的に明らかになってきている。音声を理解する際においても、構音にかかわる器官の活動が重要であることが指摘されており、ミラーニューロンシステムを介した他者の運動系列予測を実施することがコミュニケーションの創発原理であることを示唆している。ヒトのミラーニューロンシステムは、腹側前頭前野や頭頂葉の広範な範囲における神経活動が関連していることが報告されているものの、その動的形成のメカニズムについては未解明の問題である。皮質間の機能的結合は神経の集団電位として観察される脳波の位相同期現象により動的に形成されていることが示されており、ミラーニューロンシステムに関連する皮質間の相互作用についても同様の神経振動子ダイナミクスの引き込み協調により実現されている可能性が示唆される。そこで、他者の予測的模倣を実現する新たな脳機能ネットワークが、ミラーニューロンシステムを起点とした皮質間の振動子位相の引き込み協調により動的に創発することで言語・非言語コミュニケーションが実現されているものと考え、その動的な形成過程を明らかにすることを目的として研究を進めている。平成22年度においては、本研究目的を達成するために不可欠な脳波とfMRIの同時計測技術の改良を完成した。開発した手法では、fMRIの空間解像度で同定した空間位置での脳活動を、脳波の時間分解能で同定することが可能な手法であり、今後、この手法を用いて予測的模倣に関する脳内ネットワークの動的な形成過程を明らかにする。また、言語理解に関して詳細なモデルを提出するとともに、非言語コミュニケーションに関して、実験課題の遅延映像呈示装置を用いた実験課題を構築した。
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