研究領域 | ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明 |
研究課題/領域番号 |
21120009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 克樹 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70243110)
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研究分担者 |
中村 徳子 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (90425702)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 動作理解 / 乳幼児 / 障害児 / サル / コミュニケーション / ニューロン / リズム |
研究実績の概要 |
幼児と障害児における絵本を題材とした視線計測実験に関しては、1)幼児は絵本の登場人物の顔と手に視線を集中させ、特に目に注意を向けること、2)自閉性障害の子どもは大きく2群に分かれる事が分かった。普通の幼児と同様に顔や手に視線を集中させる群と、顔や手にそれほど視線を集中させずにさまざまな対象に偏り少なく視線を向ける群である。こうした行動の差が他の行動指標とどのように関連するのかを今後は明らかにする。また、言語や音楽の基礎となるリズムの記憶に関連する脳機能画像研究を実施した。その結果、リズム情報の記憶に関連する領域は、前頭前野・補足運動野・頭頂連合野・小脳といった運動制御に関連する脳領域であった。このことは、リズムが一連の運動パターンとして記憶されていると解釈できる結果であった。この結果は論文発表した(Konoike et al., 2012)。サルを対象に、動作理解に関連するニューロン応答を調べた。扁桃核のニューロンは強い負情動を示すスクリームに強く応答するニューロンが多く、前頭前野では多義的なクーに応答するニューロンが多く見られた。扁桃核は情動情報処理を担い、前頭前野はよりコミュニケーション機能を担っていると考えられる結果であった。扁桃核ニューロンの応答性に関しては論文発表し(Kuraoka and Nakamura, 2012)、前頭前野との比較に関しては投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度に中心的に実験を実施してくれていた研究者が大学教員として就職したため、組織から外れたが、特に後半あらたな研究員を雇用し、サルの実験およびヒトの機能画像研究を実施してくれたため、研究は遅れる事なく進めることができた。平成24年度には、サルの動作理解に関連する扁桃核ニューロン活動解析の結果をEuropean Journal of Neuroscience誌に、ヒトのリズム記憶に関する脳活動解析の結果をNeuroImage誌に発表した。また、サルの前頭前野ニューロン活動解析が終わり、現在投稿準備中である。また、さらなる脳機能画像研究を実施している。障害児のデータは一通り集まり、詳細な解析に入るところである。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたり、サルのニューロン活動解析の論文をまとめる。また、リズムに関する脳活動解析の結果もまとめ、学会発表し論文としてまとめる。また、障害児の視線データも学会発表し、論文としてまとめる。
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