研究概要 |
YUHのユビキチン結合界面の淵に存在する、E16,T40,S85,S154,A159、ならびに結合界面から離れたS68,S123,T197のシステイン変異体を作成した。過剰量のユビキチンを添加してYUHの活性中心C90を保護した条件で、変異導入した目的システイン残基に選択的にcysteaminyl-EDTA修飾を施した。得られたEDTA修飾YUHに,常磁性金属のガドリニウム(Gd)やニッケル(Ni)、ならびに反磁性金属の亜鉛(Zn)をキレートさせることができた。 次に、過渡的相互作用を検出するために、修飾YUHとの結合に伴って誘起される分子間PREである、Gd^<3+>による横緩和速度増大と、大きさがその1/340である縦緩和速度増大を、freeのユビキチンのNMRシグナルに誘起される転移PREとして観測した。 その結果、YUHのT40Cにプローブを導入した条件では、ユビキチンのT7,K11,T12に0.05~0.15s^<-1>の縦緩和増大と、3~15s^<-1>の横緩和増大が両方有意に観測され、A46~Q49,L73~G76には横緩和増大のみが有意に観測された。また、A159にプローブを導入した条件では、G75,G76に縦緩和増大のみが有意に観測された。また、縦緩和時間および横緩和時間の常磁性による増大の比は複合体形成の交換時間に依存するため、これらの結果よりYUHとユビキチン相互作用における早い複合体生成(過渡的複合体)および遅い複合体形成の構造情報が得られたと判断した。
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