計画研究
In-cell NMR法は細胞内に導入したタンパク質のNMRシグナルを直接観測し、その構造情報を得る手法である。近年、より高等な哺乳細胞を対象としたin-cell NMR法の開発も報告されており、実際の細胞内での相互作用観測に基づく創薬スクリーニングへの応用も期待されている。しかし、高密度の細胞をNMR試料管内に充填して測定を行うin-cell NMR法では、細胞内環境の劣化および細胞死が経時的に生じるため、限られた時間内でしかNMR観測を行うことができないという問題があった。そこで、我々は細胞内環境を保ったまま長時間のin-cell NMR測定をおこなうための新規バイオリアクターシステムの開発を行った。まず、細胞を温度可塑性のメビオールゲル内に封入した状態でNMRサンプル管に充填し、サンプル管底部から一定の速度で培地を灌流させた。31P NMR観測の結果から、通常は30分以内で枯渇する細胞内ATP濃度を、バイオリアクターを用いることで15時間以上一定に保持できることが示された。また、15時間経過後にも死細胞の増加がほとんど認められず、長時間のin-cell NMR測定が可能であることが示された。確立した手法を用いて、外部から導入したタンパク質と内在性のタンパク質との相互作用界解析を行った。微小管結合ドメインCap-Gly domain 1 (CG1)をHeLa細胞内に導入し、内在性の微小管との相互作用部位を転移交差飽和(TCS)法により観測した。その結果、既にin vitro研究にて重要性が示されている疎水性面を相互作用部位として同定することに成功した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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