計画研究
本研究ではin-cell NMRを用いて、細胞内で形成される蛋白質複合体の構造や運動性・安定性をその場 (in situ) 観察・計測する手法の開発を目指した。・脂肪酸シャペロン蛋白質FABP4の解析リガンド結合により活性化された蛋白質はしばしば過渡的で不安定なためin vitroでの解析が困難であるので、細胞内等、in situで蛋白質の構造を観察する必要がある。モデル系として、FABP(Fatty Acid Binding Protein)4を用い、in-cell NMRによる細胞内での動的状態の解析を行うための準備として、まずin vitroで解析した。FABP4は細胞内における脂肪酸輸送に関与する蛋白質で、遊離脂肪酸や類縁体と結合し細胞内の特定部位に移動する。試験管内でのNMR緩和時間測定から、基質非結合状態でFABP4のhelix-loop-helix (HLH)領域がミリ秒の時間スケールで複数の立体構造間で有意に揺らいでいること、更にモデル基質であるANS(1,8-anilinonaphthalene sulfonate)の結合によりこの揺らぎが抑制されることがわかった。またANS結合によってHLHとは異なる部位で運動性の上昇が見られた。この構造揺らぎは、核内移行に際し、或いは移行後の他分子との相互作用を促進するものである可能性がある。・in-cell 19F-NMRより簡便・高感度なin-cell NMR法を目指し、19F-NMRの適用を試みた。免疫抑制剤FK506結合蛋白質(FKBP12)のフェニルアラニンを19F標識し、in-cell 19F-NMR測定を行ったところ、HeLa細胞内で良好な1次元スペクトルを得る事ができ、外部投与のFK506やラパマイシンとの結合も容易に検出できることが示された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Nat Commun.
巻: 6 ページ: 6116-6116
10.1038/ncomms7116.
Mol Immunol.
巻: 58 ページ: 66-76
10.1039/c3cc39205h
Chem Commun
巻: 49 ページ: 2801-2803
J Am Chem Soc.
巻: 135 ページ: 10266-10269
10.1021/ja404425r
巻: 33 ページ: 12360-12365
10.1021/ja405745v
Biochem Biophys Res Commun
巻: 438 ページ: 653-659
10.1016/j.bbrc.2013.07.127.