計画研究
本研究は、臨床試験等によって系統的に集積された高品質の心理療法等のコミュニケーション場面の言語データに自然言語処理を適用し、医療コミュニケーションの土台となる傾聴や共感、心理療法による精神状態の回復、セラピストの治療遵守を予測するモデルの開発を行い、以下5つの成果が得られた。まず、心理療法中のセラピストと患者の対話逐語録にBERTの拡張モデルを適用し、セラピストの治療プロトコル遵守を判別するモデルを構築し一定の予測性能が示された(成果1)。そして、当該の心理療法の治療マニュアルの索引欄をベースとした固有表現の辞書を作成し、その辞書を用いたBERTモデルが一定の精度で治療遵守を判別することが示された(成果2)。また、問診場面のロールプレイ実施中の患者-医師間の対話逐語録に対して、大規模言語モデルGPT4等を適用し、第三者が評定する共感を予測する特徴量の抽出を行なった。その結果、言語的な特徴量のみでは、複合的なチャンネルの情報を統合して行う共感を高精度に予測することに一定の限界があることが明らかになった(成果3)。さらに、心理療法を通じて、患者が記入するワークシートに記載されているテキストの情報について、SentenceBERTモデルを適用しアウトカムと関連する特徴量を検討した。うつ病患者の認知的特徴として知られる「非機能的態度」や「抑うつ的自動思考」といった構成概念が、患者が記入したワークシートにどの程度反映されているかSentenceBERTモデルならびにコサイン類似度を用いて評価し、そのスコアが心理療法による臨床的なアウトカムの改善と関連することが明らかになった(成果4)。最後に、大規模言語モデルGPT-4を活用した心理療法のノベルゲームを開発し、有効性について予備的な無作為化比較実験を実施し、感情表出のスコアに改善が認められた(成果5)。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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