計画研究
本研究では,合成化学的手法により,糖鎖修飾膜タンパク質を「つくり」,糖鎖がタンパク質の膜動態に及ぼす影響を解析する.まず,世界的にも有数のN-グリカンライブラリを構築する.さらに,この糖鎖をタグタンパク質や種々の生体適合反応を用いてノックインし,均一な合成糖鎖で修飾したモデル膜タンパク質を調製する.この動態を解析することで,糖鎖が膜タンパク質の動態に及ぼす影響を明らかにする.膜タンパク質の機能に直結する細胞での表在性に加え,細胞外小胞(EV)への移行や,そのEVの取り込みといった動態にも着目し,糖鎖が細胞間コミュニケーションに果たす役割も明らかにする.i) N-グリカンライブラリを「つくる」:グリコシル化,ワンポット反応,多様性志向合成戦略を検討し,効率的N-グリカン合成の基盤を築く.これまでの糖鎖合成のノウハウの基盤として,複数のN-グリカン,O-グリカンの合成を達成した.本年,グローブボックスを用いる革新的なグリコシル化法の開発し,これまでに合成例のない4分枝シアリル糖鎖を複数合成することに成功した.ii) 糖鎖修飾膜タンパク質を「つくり」,その動態を「みる」:申請者は,Haloタグを用いて任意の糖鎖で膜タンパク質を修飾する手法を開発した.本システムを用いて,生細胞上,EV上の膜タンパク質に合成糖鎖をノックインし,その動態をイメージングした.具体的には,代謝標識法,生体適合反応などを用いた糖鎖ケミカルノックイン法を開発し,さらに,糖鎖が膜タンパク質の膜上での側方拡散やEVへのローディングに関与することを明らかにした.加えて,がん細胞表層に抗原糖鎖を導入し,免疫反応を誘導する新たながん免疫療法の提案にも成功した.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (29件) (うち国際学会 9件、 招待講演 3件)
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