研究領域 | 糖鎖ケミカルノックインが拓く膜動態制御 |
研究課題/領域番号 |
21H05075
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
堀 雄一郎 九州大学, 理学研究院, 教授 (00444563)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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キーワード | GLUT4 / 糖鎖 |
研究実績の概要 |
これまでの研究で、GLUT4の膜外ループに結合している糖鎖は、インスリン存在下でGLUT4を膜に引き留める役割を果たしていることを示してきた。一方、なぜ、その糖鎖により、GLUT4の動態が制御されているかは不明であった。そこで、GLUT4の糖鎖がタンパク質と相互作用することがGLUT4を膜に引き留めるキーになっていると考えた。本研究では、GLUT4と相互作用するタンパク質を調べることのできる技術として、Proximity-dependent labelingに着目した。これまでの研究で、糖鎖結合部位のループにPYPタグを挿入したPYP-GLUT4を作成している。そこで、このPYPタグを介してビオチン化し、ストレプトアビジン-ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP) conjugateにより周辺タンパク質をビオチニルチラミドで修飾し、検出することを目指した。まず、PYPタグをビオチン化するプローブを合成し、ラベル化反応が起こることを確認した。また、細胞膜上でもPYP-GLUT4をラベル化できることを示した。PYP-GLUT4を安定発現できる骨格筋芽細胞を作成し、分化後に、PYP-GLUT4を細胞膜上でラベル化できることも確認した。そのうえで、ストレプトアビジン-HRP conjugateと反応させ、Proximity-dependent labelingを行った。その結果、ビオチン化しないときには検出されなかった複数のタンパク質をSDS-PAGE上で検出することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までの研究で、pH変化とタンパク質分解を検出するプローブの合成を行い、膜タンパク質のエンドサイトーシスを可視化するための技術を開発した。今年度では、膜タンパク質の細胞膜上での生体分子間相互作用を検出するための技術の開発に成功した。このように、現在までに、膜タンパク質の膜動態とその制御機構をみる技術の基盤を着々と築きあげており、おおむね順調に研究が進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に、pH変化とタンパク質分解を検出するプローブを開発したが、生細胞イメージングを行いエンドサイトーシスからタンパク質分解を可視化するには、蛍光色のカラーバリエーションやpH応答性のコントロールなど、プローブの改変が必要であった。そこで、次年度の研究では、異なるpH応答性蛍光色素を利用した膜動態可視化プローブの開発を行う。
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