計画研究
本年度の研究では、膜タンパク質の内在化と分解を蛍光波長と蛍光強度の変化により可視化するプローブの開発を行った。これまでの研究では、PYPタグのリガンドとして7-ジメチルアミノクマリン、pH応答性蛍光色素部位としてフルオレセインを組み込んだPYPタグラベル化プローブを開発してきた。一方、タンパク質の動態を詳細に可視化するには、異なるpH応答性を示すものや、波長の蛍光を発する色素と用いたマルチカラーイメージングツールは極めて有用である。そこで、pH応答性蛍光色素をフルオレセイン(520nm付近)からより長波長の蛍光色素(580 nm付近)に変更した蛍光プローブの開発を行った。このプローブは、遊離状態では非蛍光性で、ラベル化すると蛍光強度が上昇した。また、リガンド部位を励起すると、FRETにより、色素部位からも蛍光が観測された。また、pH変化に応答して、色素部位の長波長蛍光が消光し、リガンド部位の短波長蛍光の強度が上昇したことから、本プローブによりpH変化を蛍光波長の変化でセンシングできることを示した。さらには、プロテアーゼと反応させタンパク質を分解すると、色素部位の蛍光強度が低下することが分かった。次に、このプローブを用いて生細胞蛍光イメージングを行った。EGFRの細胞外ドメインにPYPタグを融合し細胞膜上に発現させ、プローブを添加し顕微鏡観察を行ったところ、細胞膜から色素部位の長波長蛍光が観測された。EGFを添加すると、その細胞膜の蛍光が消失していき、細胞内部からクマリンリガンドの短波長蛍光が観測されるようになり、最終的には、その蛍光も消失した。以上の結果から、EGFRの細胞内への内在化と分解を蛍光の波長(色)と強度の変化を検出することで、可視化することに成功した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Biosensors and Bioelectronics
巻: 247 ページ: 115862~115862
10.1016/j.bios.2023.115862
Chemical Science
巻: 15 ページ: 1393~1401
10.1039/d3sc04953a