計画研究
一般的な反応速度算出法である「ストップトフロー法」(フローリアクター内に反応溶液を流し、その流れを止めて反応溶液内部を分光学的に観察する手法)では、フローリアクター内を溶液が通過する時間を反応時間に置き換えることができるため、リアクターの体積や流入速度により反応時間を精密に調節できる。しかし、溶液が分光学装置に到達するまでの反応進行、分光学装置の安定化に必要な時間などの「不感時間(デッドタイム)」が存在するため、ストップトフロー法では活性化エントロピー変化を正確に算出できない。一方、申請者がこれまで取り組んでいたフラッシュケミストリーとは、マイクロメートルサイズの経路径を有するフローマイクロリアクターを利用して、瞬間的に試薬を混ぜ合わせる合成法である。本年度はこのフラッシュケミストリーに基づき、反応を所定の反応時間の後に瞬間的に停止(クエンチ)して反応試薬の消費量および生成物の収量から反応速度を算出する「フラッシュクエンチフロー法」の開発を行った。クエンチにより安定な化合物として反応生成物を扱うことができるため装置の不感時間の影響が排除されることから、ストップトフロー法よりも格段に正確な測定法と言える。モデル反応として、有機リチウム試薬の求核付加反応を利用した。申請者の以前の検討から、この反応系ではフローマイクロリアクターの利用により選択性が向上することがわかっている。すなわち低エントロピー反応空間の影響を大きく受ける反応である。反応選択性に影響を与えることのわかっている、反応剤の流入速度および混合器の形状開発という観点から混合条件の探索を行ったところ、高流速条件においてV字型ミキサーを用いると混合効率が向上し、高速反応の反応速度解析が可能であることを見出した。これを用い、種々のリチウム反応の反応速度解析を達成した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 5件、 招待講演 23件) 図書 (4件)
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