本課題ではオルガネラ内での液滴形成と、その内部での酵素反応遅延の発見に至った。遅延反応場としての液滴の新たな生命機能を示す革新的な研究と位置づけられ、シグナル伝達に限らず、様々な細胞内化学反応を制御するメゾスケール反応場として、液滴の概念を飛躍的に拡張する可能性を秘める。その学術的意義は遅延反応場としての液滴が「酵素-基質1対1反応」という従来酵素反応の常識を変革する、新たな「酵素反応場-基質の“多分子-対多分子”反応」と明示される上位概念を創出することが期待できる。本酵素が神経変性疾患やⅡ型糖尿病と関わることが指摘されていることから、新たな治療戦略に繋がる可能性があり、その社会的意義は高い。
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