研究領域 | 表面水素工学:スピルオーバー水素の活用と量子トンネル効果の検証 |
研究課題/領域番号 |
21H05102
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
三輪 寛子 電気通信大学, 情報理工学域, 准教授 (90570911)
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研究分担者 |
伊藤 孝 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (10455280)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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キーワード | 水素スピルオーバー / ミュオン / 水素 / 水素電荷 / 水素拡散 / ゼオライト / 酸化物 / 触媒 |
研究実績の概要 |
固体触媒上での強い金属‐担体相互作用(Strong metal-support interaction: SMSI)として“スピルオーバー現象”が知られている。これは、触媒上の吸着種が担体へと拡散していく現象であり、拡散した吸着種は、他のサイトで反応したり、担体の状態を変化させたりするなど、触媒反応特性を直接的、間接的に変化させる。水素のスピルオーバー現象がかかわると考えられる触媒反応は多く報告されているが、水素を直接測定することが困難であるため、触媒反応中の実際の水素の挙動はわかっていないため、触媒反応制御の指針をたてることが困難となっている。本研究では、“水素のスピルオーバー現象”の原子レベルでの挙動の理解を目的に、水素様素粒子であるミュオンをプローブとして使ったミュオンスピン回転/緩和/共鳴法(μSR法)を用いて、水素の拡散や電価状態、安定化サイトを原子レベルで理解することを目的としている。本年度は、本領域の青木らの開発した電池材料であるプロトン/ヒドリド伝導体BaZr0.5In0.5O2.5(OH)0.5 (BZI)とBaZr0.5In0.5O2.25H0.5 (H-BZI)のμ+SR測定を前年度に引き続き行った。数Kの低温から高温領域までのμ+SR 測定を行った。H-BZIのμ+SRスペクトルの温度依存性からプロトンからヒドリドへの電荷移動エネルギー障壁を明らかとした。BZIのμ+SR測定の結果を併せて、H-BZI内部の酸素欠陥でのプロトンーヒドリド変換過程をプローブであるミュオンによりin-situ観測できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、本領域の青木らの開発した電池材料であるプロトン/ヒドリド伝導体BaZr0.5In0.5O2.5(OH)0.5 (BZI)とBaZr0.5In0.5O2.25H0.5 (H-BZI)のμ+SR測定を行った。H-BZIのμ+SR測定から、ミュオンが電子を捕捉しミュオニウムが生成する様子を捉えることに成功し、温度依存性から電荷捕捉の活性化障壁を得ることができた。ミュオンを擬水素と考えると、これはH-BZI内部で水素がプロトンからヒドリドへと変化する様子を捉えたこととなる。このようなin-situ情報は他の手法からは得られないものであり、当初想定していた結果と比べ、より直接的な情報が得られたため、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、BaZr0.5In0.5O2.25H0.5 (H-BZI)について外部磁場を印加したμ+SR測定を行うことで、より詳細な構造情報を得る。また、本領域の森らの開発した新規水素吸蔵触媒であるPt/Al-MgOのμ+SR測定から、本新規物質内の水素の電荷状態や安定化要因を明らかとする。
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