研究領域 | ヘテロ群知能:多様な細胞の集団動態から切り拓く群知能システムの革新的設計論 |
研究課題/領域番号 |
21H05105
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
梅津 大輝 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (60620474)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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キーワード | 群知能 / ヘテロ性 / 細胞遊走 / 組織リモデリング / 骨格筋 / 形態形成 / 自己組織化 / ライブイメージング |
研究実績の概要 |
本研究では、生体内を動き回る細胞がどのようにして機能的な構造を形成するかの問いに答えるために、細胞が創発する群知能という視点から現象を理解することを目指している。ショウジョウバエの変態期に起こる筋肉リモデリング過程では、古い筋繊維が一旦バラバラになって再集合し、新しい筋繊維に寄与していることが研究代表者の独自の実験結果によって示唆されていた。一見バラバラに動き回る筋断片は徐々にスピードを落としながら1日半ほど動き回り、いつの間にか網目状のパターンに配置する。このパターンを細胞が自己組織化的に作り出す原理の解明には、まずは個々の細胞の動きを詳細に解析することが重要である。そこで、ライブイメージングデータをもとに、細胞の動きを定量的に評価するためのプラットフォームの構築を行った。本年度は特に、細胞のトラッキングデータに基づいて、近傍の細胞が協調的に動いていることを定量的に解析する手法を確立した。その内容を論文にまとめて投稿し、現在査読中の段階である。また、自己駆動粒子系の形態形成を理解するために、「ヘテロ群知能」研究計画班A01の加納との共同研究により構築を行っている数理モデルについて、複数種の細胞を組み込むことで異なる細胞間の相互作用の影響を評価した。その結果、大きさの異なる複数種の細胞が存在することで秩序正しい細胞の配置を比較的に容易に実現することができることが予測された。さらに、細胞群と場との相互作用を解析する目的でin vitro再構築系の確立に取り組んだ。まずは、ライブイメージングを可能にするショウジョウバエ系統の作成を複数系統樹立し、培養実験を予備的に行った。最適化のために更なる条件検討を要するものの、培養条件下で十分な蛍光強度があることを既に示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
顕微鏡撮影システムを導入した際に、長時間のライブイメージングにおいて時間と共に徐々に焦点面がずれてしまう問題が生じたが、新たな機器を追加することにより問題を解決することができた。これによりライブイメージングを格段に効率化することができた。また、数理モデルとin vitro培養系の確立においてほぼ当初の計画通りの進展があった。in vitro培養系が確立できたことにより、RNA-seq解析を本格的に進める基盤作りができた。以上からおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
細胞集団のヘテロ性について検証するために、in vitro細胞培養系の構築において培ったノウハウを元に細胞を単離し、シングルセルRNA-seqを行う。これによって動き回る細胞の集団内にどのような遺伝学的なヘテロ性があるかを検証する。シングルセルRNA-seqで得られる情報はヘテロ性を見る上で非常に有用であるが、RNA-seqデータがどの程度信頼できる結果となるかを検証するために、前段階としてバルクでのRNA-seqを行うことが有効であると判断した。そこで、多数の蛹から細胞を単離してバルクでのRNA-seqを行う。異なる発生段階においてRNAを抽出し、発生に伴う遺伝子発現変化を解析する。また、これまでに確立した細胞動態の定量的評価手法を用いてin vivoでの物理的撹乱に対する細胞の挙動の解析を進める。さらに、構成論的アプローチとして、A01班との共同研究によって引き続き数理モデルの構築を進める。
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