• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

過渡的タンパク質複合体の高速構造解析プラットフォームの構築

計画研究

研究領域マルチスケールな生理作用の因数分解基盤構築
研究課題/領域番号 21H05112
研究機関関西医科大学

研究代表者

寿野 良二  関西医科大学, 医学部, 准教授 (60447521)

研究分担者 加藤 貴之  大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (20423155)
藤田 大士  京都大学, 高等研究院, 准教授 (20713564)
研究期間 (年度) 2021-08-23 – 2024-03-31
キーワードクライオ電子顕微鏡単粒子解析 / X線結晶構造解析 / GPCR / バイアスドリガンド / シグナル伝達 / 創薬 / 膜タンパク質
研究実績の概要

【概要】本研究領域では、多元的アウトプットとして現れる複雑な生理作用を、分子(寿野班)、細胞(井上班)、個体(櫻井班)、制御(斉藤班)といった次元に分解して検証し、分子、細胞、個体各スケールにおける「素過程」の重ね合わせの形にて記述・可視化を実現する。寿野班は分子フェーズを担当し、GPCR A, Bを介したシグナル伝達機構の全貌をX線結晶構造解析およびクライオ電子顕微鏡の単粒子解析(Cryoelectron microscopy single particle analysis : Cryo-EM SPA)によって原子分解能レベルで明らかにする。
【目的】バイアス型リガンド結合型GPCR A, BのX線結晶構造解析によるシグナル選択性の解明、GPCR A, Bとシグナル伝達因子複合体の構造解析によるシグナル伝達機構全貌の解明、ケージ技術とCryo-EM SPAを融合した迅速構造決定プラットフォームの開発を目指す。
【研究成果】 本年度は、X線結晶構造解析のためのコンストラクト作製、発現、精製と、Cryo-EM SPAのためのGPCR A, BとGタンパク質の複合体形成条件を検討し、それぞれGタンパク質選択的作動薬、バランスド作動薬存在下で安定な複合体を得ることができた。複合体について200kVの電子顕微鏡でスクリーニングし、GPCR Aの選択的リガンド、非選択的リガンド結合状態で300kVのクライオ電子顕微鏡単粒子解析(Cryo-EM SPA)によりそれぞれ3.24, 3.0A分解能での構造決定に成功した。GPCR Bについても選択的リガンド2種、非選択的リガンド結合状態では300kVのCryo-EM SPAによりそれぞれ3.26,2.9, 2.76A分解能で構造決定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

想定より6ヶ月ほど早く目的の複合体の構造すべて決定でき、さらに別のリガンドとの結合状態構造も決定できたから。

今後の研究の推進方策

GPCR A, BについてGタンパク質複合体、バイアス型リガンド、非選択性リガンド結合型構造が当初の予定より早く構造決定できた。共同研究者と構造情報をもとにしてシグナル伝達機構に重要と考えられるアミノ酸について変異体を作成し、バイアス型リガンドの作用機序を明らかにする。また、構造情報をもとにした薬剤開発を行い、その性質を検討する。構造情報をもとにして設計した化合物開発を達成し、上述の結果をまとめて論文を投稿する。今後はアレスチン結合型構造決定を目指して、得られた構造情報とすでに決定した構造をもとに、その相違点から副作用のないGタンパク質シグナリング選択性リガンドの開発に重要な知見を提供する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Structural insights into the G protein selectivity revealed by the human EP3-Gi signaling complex2022

    • 著者名/発表者名
      Suno Ryoji、Sugita Yukihiko、Morimoto Kazushi、Takazaki Hiroko、Tsujimoto Hirokazu、Hirose Mika、Suno-Ikeda Chiyo、Nomura Norimichi、Hino Tomoya、Inoue Asuka、Iwasaki Kenji、Kato Takayuki、Iwata So、Kobayashi Takuya
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 40 ページ: 111323~111323

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2022.111323

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Molecular basis for anti-insomnia drug design from structure of lemborexant-bound orexin 2 receptor2022

    • 著者名/発表者名
      Asada Hidetsugu、Im Dohyun、Hotta Yunhon、Yasuda Satoshi、Murata Takeshi、Suno Ryoji、Iwata So
    • 雑誌名

      Structure

      巻: 30 ページ: 1582~1589.e4

    • DOI

      10.1016/j.str.2022.11.001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Liquid Chromatography-Mass Spectrometry Method to Study the Interaction between Membrane Proteins and Low-Molecular-Weight Compound Mixtures2022

    • 著者名/発表者名
      Ogiso Hideo、Suno Ryoji、Kobayashi Takuya、Kawami Masashi、Takano Mikihisa、Ogasawara Masaru
    • 雑誌名

      Molecules

      巻: 27 ページ: 4889~4889

    • DOI

      10.3390/molecules27154889

    • 査読あり
  • [学会発表] プロスタグランジン受容体の構造解析によるシグナル伝達機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      寿野 良二
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会(札幌)
    • 招待講演
  • [学会発表] 創薬に資するGPCRの構造生物学2022

    • 著者名/発表者名
      寿野 良二
    • 学会等名
      Neuro2022
    • 招待講演
  • [学会発表] 構造生物学的技術によるGPCRの多様なシグナル伝達機構の解明2022

    • 著者名/発表者名
      寿野 良二
    • 学会等名
      第95回 日本生化学会(名古屋)
    • 招待講演
  • [図書] クライオ電子顕微鏡ハンドブック2023

    • 著者名/発表者名
      寿野 良二、清水(小林)拓也
    • 総ページ数
      460
    • 出版者
      NTS

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi