研究領域 | 高次機能性タンパク質集合体の設計法『SPEED』の確立 |
研究課題/領域番号 |
21H05118
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡本 泰典 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50843405)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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キーワード | タンパク質工学 |
研究実績の概要 |
生体内では様々なタンパク質の機能が連携することで生命システムが動作している。近年、この生命機能システムを再設計する合成生物学的研究が精力的に進められている。その例として、疾患マーカー分子を検知し、治療用のタンパク質や小分子を分泌する機能をもった細胞医薬が開発されている。細胞医薬では、複数のタンパク質機能をリレーさせることで、細胞を高度なタスクが実行可能なシグナル変換デバイスとしている。では、細胞医薬の構成要素であるタンパク質のみで同様のタスクを実行可能な高次機能性タンパク質の構築は可能だろうか?本研究では、これに対するProof-of-Conceptとして、1) 活性制御の可能な人工金属酵素の構築と、2) その人工金属酵素と天然酵素の機能を連携させたシステムの構築をめざしている。 2021年10月から2022年3月までの初年度は人工金属酵素のテンプレートとなる構造変化するタンパク質の大腸菌による発現系の構築に着手した。この人工金属酵素のテンプレートタンパク質の合成遺伝子を設計し、発現プラスミドを構築した。 この際、テンプレートタンパク質の可溶性が低いことが懸念されたため、マルトース結合タンパク質との融合タンパク質として発現することとした。また、このようにタグタンパク質との融合発現とすることで、迅速な精製が期待できる。大腸菌株の検討や培養条件のスクリーニングの結果から、効率的に目的タンパク質を発現する条件を見出すことができた。次にアミロースレジンを用いての精製を試みたが、目的タンパク質のアミロースレジンへの吸着量が低いことがわかった。そこで、吸着条件を検討したところ、当初の5倍ほどの収率で目的タンパク質を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度の当初の研究実施計画に従い、初年度の半年間は、人工金属酵素のテンプレートとなる構造変化するタンパク質の大腸菌による発現系の構築を行なった。タンパク質の発現条件および精製条件を最適化することで、目的とするタンパク質を得ることに成功している。また、並行して、2022年4月から2023年3月までの二年度目に行う予定であった20種類程度の多重変異体のデザインだけでなく、それらの触媒活性評価の方法についても検討を開始している。これらより、概ね順調に進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、20種類程度の多重変異体のデザインを終え次第、それらの発現プラスミドを構築する。その後、初年度に確立した発現・精製方法に則り、多重変異体のライブラリーを作成する。また、現在検討している触媒活性の評価方法を用いて、活性を有する変異体を探索する。
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