脳は生命機能に重要な器官であることから、現在までに様々なアプローチによって脳の機能調節の解明に向けた研究が推進されてきた。しかし、閉鎖空間である脳内で宿命的に発生する圧刺激に関して、その影響が示唆されてきたにも関わらず、細胞が受ける圧刺激の大きさや細胞による圧刺激の検知機構の解明に迫る研究は非常に少なかった。本研究計画では、「圧刺激を可視化定量するためのバイオプローブ」および「圧刺激の定量的操作法」を用いた圧刺激の可視化定量ツールを構築し、本研究領域の目的である、脳内の圧刺激がもつ脳機能発現への役割と分子機構の解明に迫る。 今年度は、細胞接着や核をターゲットに圧刺激センサープローブを開発した。その結果、各刺激の制御に対応した細胞応答の計測に成功した。しかしながら、開発したプローブのシグナルの低さが依然として問題となり、今後の課題となった。また、初期段階ではあるが、開発したプローブを含んだ擬似細胞(センサープローブ細胞)の作製に成功している。 サンプルへの圧刺激の定量的操作法に関しは、昨年までの安定性の問題が解決され、ライブイメージングへの応用が見込まれている。現在、本研究課題の遂行にあたって得られた、新たな知見に関する研究成果をまとめる段階に入った。
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