研究領域 | 時間タンパク質学:時を生み出すタンパク質特性 |
研究課題/領域番号 |
21H05130
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
吉種 光 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 副参事研究員 (70569920)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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キーワード | 生化学 / 質量分析 / リン酸化 / タンパク質 |
研究実績の概要 |
24時間周期の自律振動メカニズムとして転写フィードバック制御の重要性が提唱されてきたが、これらは真の時計振動体からの機能出力リズムの一つにすぎないのではないだろうか。本領域では、分子間相互作用・翻訳後修飾・酵素活性・立体構造変化などのタンパク質ダイナミクスに着目し、真核生物において核がなくても(転写リズムがない状態において) 約24時間周期で自律的に振動するタンパク質振動子の同定を目指している。本研究計画においては、生化学と質量分析装置を駆使して時計タンパク質の相互作用リズムや翻訳後修飾の状態リズムを「コード」として捉えることにより、「時」を生み出すタンパク質の分子特性に迫ることを目標とした。初年度には、哺乳類を実験材料として時計タンパク質の相互作用リズムや翻訳後修飾のリズムを正確に記述した。具体的には時計タンパク質にFlagタグを付加した遺伝子改変マウスを活用し、さまざまな時刻に生化学と質量分析装置を駆使した大規模解析を展開し、これらのデータを統合して機能リズムを抽出した。その中でも注目するべき機能リズムに焦点を絞り、これらに摂動を与えた際の影響を調べた。さらに培養細胞における概日リズムの可視化実験において、一連の時計遺伝子の欠損細胞株を樹立し、その中でもリズム性に大きな影響が見られた遺伝子に対してノックアウトレスキューする実験系を確立した。さらに、領域メンバーと協力して、 カサノリなどさまざまな生物種を実験材料に利用し、哺乳類で培ったノウハウを最大限活用して生化学的な解析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に記載したように、哺乳類を実験材料とした研究は研究計画書に記載した通りに順調に進捗している。これに加えて、領域メンバーとの共同研究が当初の計画以上に順調に進展し、初年度から想定以上のペースで研究を展開することができた。
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今後の研究の推進方策 |
24時間周期の自律振動メカニズムとして転写フィードバック制御の重要性が提唱されてきたが、これらは真の時計振動体からの機能出力リズムの一つにすぎないのではないだろうか。本領域では、分子間相互作用・翻訳後修飾・酵素活性・立体構造変化などのタンパク質ダイナミクスに着目し、真核生物において核がなくても(転写リズムがない状態において) 約24時間周期で自律的に振動するタンパク質振動子の同定を目指している。本研究計画においては、生化学と質量分析装置を駆使して時計タンパク質の相互作用リズムや翻訳後修飾の状態リズムを「コード」として捉えることにより、「時」を生み出すタンパク質の分子特性に迫ることを目標としている。初年度には、哺乳類を実験材料として時計タンパク質の相互作用リズムや翻訳後修飾のリズムを記述し、ノックアウトレスキュー系を立ち上げてその重要性を評価した。次年度には、これら時計タンパク質の相互作用や翻訳後修飾状態に影響を与える新規分子を同定するとともに、特定の翻訳後修飾部位の変異が他の部位の修飾状態に与える影響を評価する。また、これらが時計振動に与える影響をレスキュー系で評価する。また、領域メンバーとも協力してこれまで哺乳類を実験材料として展開してきた研究を他の生物種にも展開する。
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