研究実績の概要 |
本年度は主に新規の顕微鏡の立ち上げを進めると同時に、NeuropixelsプローブとScan optogeneticsシステムを用いた大脳皮質、小脳、大脳基底核、上丘間の機能的結合の同定の実験、ファイバーフォトメトリ実験を進めた。新規の顕微鏡立ち上げにおいては、世界最大視野を有する2光子顕微鏡(Diesel2p;Yu, Stirman, Yu, Hira, Smith 2021)を再設計したものを京セラSOC社と開発し、導入した。現在のところパーツの60%程度が組みあがっている。カルシウムイメージングが可能なマウスの作成にまで行かなかったため、この顕微鏡を用いた動物実験は完了していない。NeuropixelsとScan optogeneticsシステムの実験系においては、大脳皮質にChR2が発現したラットを用い、大脳皮質の10mm x 10mmの領域を32 x 32に分割した一点一点を1秒間に10点程度のスピードで青色レーザー光刺激した。刺激に応答する細胞活動を、小脳、大脳基底核、上丘において記録することに成功した。特に小脳においては、小脳核、苔状線維、プルキンエ細胞からの応答が、マップおよびPSTH(遅延時間)において明確に区別された。大脳基底核においては主にSNrをターゲットとしており、上丘においては外側部分をターゲットとしている。加えてファイバーフォトメトリを用いて大脳基底核のカルシウムイメージングとドーパミン記録に成功したが、赤色のカルシウムイメージングには成功していないためこれらを同時に測定することが次の課題である。
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