研究領域 | 時空間的な多因子間相互作用の理解による転写ユニティー機構の解明 |
研究課題/領域番号 |
21H05161
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
仙石 徹 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (60576312)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / 転写 / クライオ電顕 / ユビキチン化 |
研究実績の概要 |
転写ユニティー中のヒストン修飾酵素とヌクレオソームとの相互作用、およびその触媒制御機構について研究を行った。ヒストンH2Bのリジン120のモノユビキチン化(H2BK120ub)は、ヒストン修飾クロストークの上流に位置し、H3K4およびH3K79のメチル化を促進し、転写伸長やDNA修復を制御している。ヒトにおいて、H2BK120ubはBre1A/RNF20とBre1B/RNF40という相同な2種類のタンパク質からなるヘテロ2量体がE3酵素として働くことで導入される。Bre1AやH2BK120ubのレベル低下は多くのがんで観察されており、H2BK120ubはがん抑制機能を持つと考えられている。Bre1複合体によるH2BK120特異的モノユビキチン化とその制御機構に関する知見を得るため、我々はクライオ電子顕微鏡を用いてBre1複合体がヌクレオソームに結合した構造を決定した。密度マップからはBre1AとBre1Bに由来するとみられる2つのRINGドメインがヌクレオソームの酸性パッチとDNAに結合している様子が確認できた。これらの相互作用に重要な役割を果たすArg残基に変異を導入して生化学的解析を行ったところ、ユビキチン化活性の低下が認められた。Bre1領域の密度を改善するためにプログラムCryoSPARCを使って3D-Flex解析を行い、密度の改善が認められると共にDNAと結合するBre1サブユニットの運動性が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍による混乱を除けば研究は順調に進展しており、Bre1-ヌクレオソーム複合体の立体構造を決定し機能解析を推敲することができた。
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今後の研究の推進方策 |
Bre1の構造解析については海外グループとの競争が存在するため論文化を急ぐ。また、他のヒストン修飾酵素複合体についても共発現による再構成とそれに続く立体構造決定を試みる。
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