研究領域 | 脳神経マルチセルラバイオコンピューティング |
研究課題/領域番号 |
21H05163
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
香取 勇一 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (20557607)
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研究分担者 |
加藤 秀行 大分大学, 理工学部, 講師 (00733510)
徳田 慶太 筑波大学, システム情報系, 助教 (50762176)
保坂 亮介 福岡大学, 理学部, 助教 (80569210)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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キーワード | レザバー計算 / ニューラルネットワーク / 感覚情報処理 / 運動制御 |
研究実績の概要 |
初年度は,多細胞バイオコンピューティングの理論的な側面について,神経の結合系でどのような計算・情報処理が可能となるか多面的に検討を進めた. 特に多数の非線形素子が結合して生じる複雑な運動を用いた情報処理リザバー計算の枠組みを拡張し,その機能を解析した. まず時間差(TD)学習とリザバー計算(RC)を組み合わせた自律ロボットの制御に向けた新たなネットワークモデルを提案した.TD学習は,エージェントが累積報酬を最大化するための行動を環境内で行うことを可能にする強化学習の一種であり,本研究のモデルでは,リザバーと出力層の間の接続重みをオンライン強化学習により訓練する.本研究では,短期記憶を必要とするタスクを用いて提案モデルの評価を行った.その結果,リザバーが,タスクに関連する感覚情報を記憶する役割を果たしていること,記憶を必要とするタスクのパフォーマンスを向上させることが明らかになった.これらの結果は,多数の非線形素子の相互作用を活用した新しいロボット制御の可能性を示している. また感覚情報の予測,報酬修飾ヘッブ学習,またリザバー計算を組み合わせ, 明示的な教師信号なしにネットワークを訓練することが可能なネットワークモデルを構築しました.このモデルをロボットアームの制御タスクで評価し,その有効性を確認することができた. さらに脳予測符号化を含む階層的リザバー計算モデルを構築し,その特性を解析した.特にその機能的結合性に着目し,階層的ネットワークにおけるトップダウンまたボトムアップの情報の流れと,結合強度分布の関係を解析した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々なネットワークモデルを構築し,その有効性を確認することが出来たため,研究は順調に進展しているといえる.今後の課題は,実問題・実応用に含まれる問題の複雑さ難しさに対応するための詳細な検証となる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,情報処理モデルの構築のための各種神経ネットワークモデルの構築に加えて,構築した計算機構を培養神経回路へ実装するための検討が必要である.さらに生体時系列の解析手法を用いて、神経培養系などの生体から得られる多次元時系列データの解析を進める必要がある.
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