研究領域 | 脳神経マルチセルラバイオコンピューティング |
研究課題/領域番号 |
21H05164
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山本 英明 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10552036)
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研究分担者 |
谷井 孝至 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339708)
平野 愛弓 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80339241)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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キーワード | 多細胞バイオ計算 / 培養神経回路 / マイクロ流体デバイス / 多点電極アレイ / 蛍光カルシウムイメージング |
研究実績の概要 |
本計画班では,微細加工基板表面に形成した人工神経細胞回路とその摂動解析系を基盤として,実神経細胞が構成するマルチセルラネットワークの大自由度システムとしての動的特性と自己組織性をボトムアップに解析するための実験系を創成することを目指している.今年度は,A02山本班の谷井と共同で,シリコーン樹脂性のマイクロ流体デバイスを用いてラット大脳皮質神経細胞を高密度多点電極アレイ上にパターニングして人工神経細胞回路の形成する技術を開発した.さらに,多点電極アレイで計測された神経活動をA01香取班の加藤と共同で解析した.その結果,生体の脳神経系の配線構造を特徴付けるモジュール構造型に神経細胞をパターニングすることにより,培養神経回路で見られる過剰な同期が抑制され,自発活動が臨界状態に近づくことを示した. さらに,A01香取班の香取と徳田と共同で,感覚運動制御の神経基盤を理論的に解析するための数理モデル研究を進めた.具体的には,感覚運動制御の数理モデルとしてリカレントニューラルネットワーク(RNN)を用いて、音声認識や筆記文字生成タスクにおける結合行列の構造変化を分析した.最適化されたRNNの結合行列は非ランダム性を帯び,反対称性が増加し,これがネットワークダイナミクスの振動性を向上させることが分かった.さらに,結合行列の対称性を操作し,これを用いたレザバー計算によって出力性能が向上することを実証した.特に,タスク特有の出力ターゲットに応じて結合行列の対称性を調整することで,時空間的な出力信号を安定化させることができることを見いだした.このような結合行列の対称性操作は,例えば時定数の調整が難しいレザバー計算の物理実装時などでの実用が期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工神経細胞回路の構築と機能評価について,領域内で立ち上げた計画班内および計画班を跨ぐ共同研究を進め,その成果を共著の学術論文などとして発表することが出来ている.
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今後の研究の推進方策 |
人工神経細胞回路の刺激応答特性やそのネットワーク構造依存性を,リザバーコンピューティングなどの理論に基づいて解析することが次の課題である
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