計画研究
本計画班では,微細加工基板表面に形成した人工神経細胞回路とその摂動解析系を基盤として,実神経細胞が構成するマルチセルラネットワークの大自由度システムとしての動的特性と自己組織性をボトムアップに解析した.課題の最終年度であるR5年度には,以下の2つのテーマに関する研究を実施し,それぞれ原著論文として国際誌に発表した.(1)リザバーコンピューティングによる人工神経細胞回路の刺激応答特性の解析A01班代表の香取と共同で,リザバーコンピューティングと呼ばれる機械学習の新しい枠組みを用いて,ラットの大脳皮質神経細胞で構成した人工神経細胞回路の刺激応答特性を解析した.本実験では,培養された神経細胞ネットワークの刺激応答を光遺伝学と蛍光カルシウムイメージングを用いて記録し,リザバーコンピューティングを使用して刺激応答をデコーディングした.実験の結果,人工神経細胞回路は数百ミリ秒程度の短期記憶を持ち,これを利用して時系列データの分類が可能であることが示された.(2) モジュール構造型人工神経細胞回路の摂動応答特性の解析哺乳類の大脳皮質では,複数の神経細胞が同期して活動する状態と細胞がそれぞれ個別に発火する状態の均衡が保たれている.本研究では,人工神経細胞回路を用いて,このような均衡が実現されるメカニズムを調べた.そして,哺乳類の大脳皮質で見られる「モジュール性」という特徴を強く持った培養神経回路ほど外部入力に対する感受性が強くなり,培養神経回路特有の過剰な同期が崩されやすくなることを明らかにした.さらに,一連の実験結果を説明するシミュレーションモデルを構築し,入力を常時受けることによってシナプス伝達で放出される神経伝達物質が減少することが鍵になっていることを突き止めた.本研究は,領域の海外アドバイザーであるJordi Soriano准教授(バルセロナ大学)らとの国際共同研究として推進した.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (25件) (うち国際学会 14件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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