計画研究
領域全体での「当事者化」のコンセプトや定義、さらには「社会モデル」に関する活発な議論を踏まえて定めた調査項目を、計画班内の思春期コホート等大規模調査(東京ティーンコホート、脳画像撮像、大学生調査、等)に導入し、データ収集を進めた。また、英国で行われている思春期コホート(REACH Cohort: King's College of London)と東京ティーンコホートのデータを正確に比較検証するための統計基盤を確立し(Knowles & Nishida et al., under reviwe)、マイノリティ性を持つ若者の当事者化のプロセスの相違やそれに影響を与える社会環境要因の検証を行う共同研究を展開した。また、米国の若者を対象とした大規模疫学調査を実施し、人種に関する社会構造的差別(警察による暴力)が、黒人等有色人種の若者のメンタルヘルス(精神病症状体験)に影響を与えている可能性を明らかにした(DeVylder & Nishida et a., Schizophrenia Bulletin, in press)。さらに、都内にて、思春期に妊娠・出産を経験する女性とその子供を対象としたコホート(MINT Cohort:約400世帯)を立ち上げ、妊娠期からの社会環境(支援環境)が母親の当事者化に与える影響を与えるかを検証する研究も開始した。思春期後期のイヌ飼育が、家族との関わりを通じて社会とのつながりに及ぼす影響を探るために、約3000名の高校生・大学生を対象にオンライン調査を実施し、さらに行動実験と採尿・採便を行い、尿中ホルモンと腸内細菌叢の解析を進めた。また、生活行動としてのインターネット使用について、その嗜癖のリスクに関し、使用程度の定量化尺度であるGPIUS2の日本語版標準化を行った。
3: やや遅れている
新型コロナの感染拡大により、コホート訪問調査の調査開始後、感染拡大期を避けて被験者に対する調査・データ収集を進める必要があり、調査にやや遅れが生じている。
現在、進行中の大規模疫学調査等を効率的に進め、新型コロナ感染拡大に伴うデータ収集の遅れを挽回する。収集されたデータの予備解析等とそれを踏まえた計画班内でのディスカッションを行い、解析方法の修正や改善についても検討する。日英米の思春期コホートの比較研究をさらに進め、マイノリティ性を経験している若者の当事者化のプロセスに文化や社会的信念がどのように影響するかの検証を進める。また、思春期までのライフコースで様々な苦労を抱えてきた女性が妊娠・出産する際に、どのような支援環境が当事者化のプロセスや産後の多難期の支えるかについての検証を進める。思春期のイヌ飼育が若者の当事者化に与える影響についてのデータ解析、また、脳画像データを含めデジタル世界と個体との相互作用についてのデータ解析を進める。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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