計画研究
笠井と金原は、ACE (Adverse Childhood Experience) の体験を調査する尺度を開発した。精神疾患の男女別発症率の経時変化と、都市化との相関の解析を行い学会発表を行った(澤井 2021)ヤングケアラー状況と脳画像・ストレス・性ホルモンとの関連解析に着手する目的で、英ノッティンガム大学との国際共同研究による日本の中高生ヤングケアラー調査に用いる尺度の標準化を行い、学会発表を行った(Kanehara 2021)。精神疾患をもつ当事者へのインタビュー調査とその質的分析により、回復の構成概念として、「social normsから自由になること」が日本特有であることを見出し、論文発表した(Kanehara 2021)。北中は、研究の基盤づくりとして、ライフサイクルの精神医療化を発達障害、うつ病、認知症から考え、それぞれを主として狩野・北中で分担して文献調査を行った。また北中はGlobal Social Medicineネットワークを基盤に、うつ病のアジアにおける国際比較調査を行い、特に日本、ミャンマー、中国の比較結果をランセット誌に掲載した。狩野と櫛原はそれぞれアメリカ心理人類学会、日本多文化間精神医学会での発表を行い、東畑は心理療法の国際比較ワークショップ(アイルランド)での準備調査を行った。澁谷は、聞こえない親を持つ聞こえるコーダへのインタビューを基にした論文「視覚言語と音声言語の通訳」のほか、ヤングケアラーやその家族への支援に関する論文を執筆し、『精神科看護』『障害者問題研究』に掲載した。滝島はきょうだい支援についての論文を『社会福祉学』などに掲載し、長谷川はヤングケアラーの離家に関して日本社会学会や福祉社会学会で発表した。長谷川と澁谷は、The 3rd International Young Carers Conferenceでの英語発表も行った。
2: おおむね順調に進展している
笠井と金原は、2009-2020年度までのN=4,000データを対象に、ACEs、主観・客観症状の時代変遷、都市居・移住状況の後方視的調査とデータベース化の準備を行った。また、東京ティーンコホート参加者におけるヤングケアラー状況と世界への主体的コミットメントの関連、およびサブサンプルにおける脳画像解析を計画した。英ノッティンガム大学との国際共同研究による日本の中高生ヤングケアラー調査研究のため、尺度の標準化を行い、調査を行った。上記のテーマについて、隔月で、A03-B02研究推進(内部ミーティング)を開催し、空間疫学研究、機械学習による自然言語処理、画像研究など様々な手法について、専門家を招くなどして、丁寧な議論を行った。ヤングケアラー調査を行いながら、 普及と実装研究(dissemination and implementation[D&I]研究)を意識し、ヤングケアラーが登場するこころの健康教材を作成した。北中はライフサイクルの精神医療化の調査を進めると同時に、当事者化の国際比較にむけて国際ネットワークの構築を行った。具体的には、特に発達障害とうつ病の国際比較のために、若者のメンタルヘルスに着目し、さらに認知症の国際比較のために、シカゴ大、バンダビルト大、エジンバラ大学、マギル大学、プリンストン大学の人類学者と研究会議を行った。さらに海外での講演を通じて、国際協力の基盤を築き、そこでの成果は精神神経学雑誌をはじめとする論文に発表した。澁谷はヤングケアラーに関する発信を精力的に行い、澁谷、長谷川、滝島は、厚生労働省や参議院や東京都福祉保健局をはじめとして多くの講演を実施した。ヤングケアラー支援マニュアルの制作やヤングケアラーについて理解を深めるシンポジウムに携わった。これらの理由から、概ね順調に進展していると自己評価できる。
笠井と金原は、2009-2020年度までのN=4,000データを対象に、ACEs、都市居・移住状況の後方視的調査とデータベース化を行う。ACEs、主観・客観症状の時代変遷、都市居・移住状況の後方視的調査から、ACE (Adverse Childhood Experience) の体験を調査する尺度を開発し、発生と精神障害との関連性を調査する。英ノッティンガム大学との国際共同研究による日本の中高生ヤングケアラー調査研究のため、尺度の標準化を行い、存在率調査を行う。上記のテーマについて、隔月で、A03-B02研究推進ミーティングを行い、各テーマ・研究手法について分野横断で議論を行い、研究を進める。ヤングケアラーについては、得られた結果に基づき、 普及と実装研究(dissemination and implementation[D&I]研究)として、ヤングケアラーサポートに関する中高生向け講義を実施したり、学校のスクールカウンセラーや養護教員に授業をしてもらえるための研修会を開催する。北中は、班全体として本格的に若者のメンタルヘルス比較調査を行うために、文献調査を行い、さらに当事者化の国際比較のワークショップに向けて、海外の学者を招聘する準備をする。各自それぞれの民族誌的調査の基盤を作り、北中は認知症と脳神経学的障害の調査を、狩野は自閉症の民族誌的調査を開始し、櫛原は精神病院の長期入院における調査を実施、東畑は心理療法の国際比較的文献調査を継続して行っていく。澁谷は、若い世代に向けたヤングケアラーについての研究を進めるとともに、情報の発信に努める。
すべて 2022 2021 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 10件、 招待講演 7件) 図書 (2件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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