研究領域 | 「当事者化」人間行動科学:相互作用する個体脳と世界の法則性と物語性の理解 |
研究課題/領域番号 |
21H05175
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
熊谷 晋一郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (00574659)
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研究分担者 |
綾屋 紗月 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任講師 (40641072)
外谷 弦太 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (70847772)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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キーワード | 心理的安全性 / 知識の共有 / 表出された謙虚さ / eConsent / 介入研究 |
研究実績の概要 |
■当事者化測定指標の標準化:個人や組織が学習可能になるための生態学的条件を検討した高信頼性組織研究を参照しつつ、当事者化にとって重要な3つの概念(心理的安全性、知識の共有、表出された謙虚さ)を特定し、それらを測定する尺度の翻訳を報告する論文を執筆、投稿した(Matsuo, et al., under review)。これにより、領域全体で活用できる当事者化の測定ツールの一部を提供することができた。 ■当事者研究実施環境のセットアップ:感染予防に配慮するとともに、手話や文字通訳用設備、視覚過敏の対応した照明や聴覚過敏に対応した膜天井など、多様なニーズに対応したハイブリッド型会議室を、障害をもつ研究者が中心となって共同創造した。これにより、領域内で共用できる当事者研究実施設備が整った。 ■リモート介入研究実施環境のセットアップ:COVID-19流行下でも安全にリモート介入研究を実施できるようにするため、マルチメディアを用いた研究概要の説明、電子署名技術を用いた研究参加への同意取得など、電磁的な説明同意取得の手法およびその技術であるeConsent システムを構築した。研究概要と倫理的事項の説明については聴覚障害にも配慮し、聴覚障害のあるユーザリサーチャー監修のもと、字幕付き動画を用いて書面による説明の補完と情報保障を行なった(宮路ほか, 2023a)。 ■介入プロトコールの共同創造:東大病院臨床研究推進センターとの連携のもとでプロトコールや統計解析計画を策定し、企業向けの当事者研究の介入研究プロトコールを共同創造した(宮路ほか, 2023b)(UMIN000048418、https://idl.tk.rcast.u-tokyo.ac.jp/archives/project)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
介入研究に向けた準備として、「当事者化測定指標の標準化」「当事者研究実施環境のセットアップ」「リモート介入研究実施環境のセットアップ」「介入プロトコールの共同創造」のすべてをおおむね順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
■理論的研究:個体レベルの当事者化に関するモデルを検討するとともに、共同創造に必要な学術者の当事者化や学術の組織変革の条件についての指針をまとめる。また共同創造と関わる「概念の再帰的結合能力」を強化学習エージェントに実装した進化シミュレーション研究を行う。 ■観察研究:本年度に行ったセットアップに基づき、介入前のベースラインとして企業を対象にリーダーの謙虚さ、心理的安全性などを測定する。 ■介入研究:「当事者研究の導入が職場のウェルビーイングと創造性に与える影響に関する研究」のプロトコールに基づき主に企業への介入を開始する。
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